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米イラン戦争は「地上の地獄」と警鐘を鳴らす米サイト「ボックス」

◆代理組織が混乱拡散

 米国とイランとの間で軍事衝突が起きるのではないかと懸念されている。米ニュースサイト「ボックス」は、米イラン間で戦争が勃発すれば、「地上の地獄」となると警告、専門家らによる戦争のシナリオを伝えている。

 ホルムズ海峡近海でタンカーが攻撃を受け、イランは米国の無人偵察機を撃墜した。米国は、タンカー警護へ、有志連合の結成を計画、多国間での枠組みの構築を模索し始めた。

 ボックスは軍事衝突が起きた場合「ほぼ追跡不可能で、容赦のない代理組織が、複数の大陸にわたって混乱を拡散させる。大変な誤算が重なり、数千人、場合によっては数十万人が死亡し、イラク戦争ですら小さく見えるだろう」と予測。イランが資金、武器面で支援を行っている武装組織が各地で米兵や同盟国を攻撃する一方で、米イラン間に対話のチャンネルがなく、互いの誤算から本格的紛争に突入する危険性があると指摘した。

 2009年から12年に米国務省でイラン問題を担当し、現在はシンクタンク、ニューアメリカン安全保障センター上級研究員のイラン・ゴールデンバーグ氏も、イラン系武装組織による米軍への攻撃の可能性が高いと主張する。

 レバノンのイラン系イスラム教シーア派組織ヒズボラは、1983年にレバノンで米海兵隊の兵舎への自爆攻撃を行い、200人以上の米兵が死亡、イラク戦争ではイラン系民兵によって600人以上の米兵が殺害されており、「イランが、この方法でいけると考える可能性はある」と強調した。

◆交渉チャンネルなし

 トランプ米大統領は、米国人が殺害されればイランを「消滅」させると威嚇しており、米タンカーへの攻撃などが起きれば、米国としては何らかの軍事的対応を迫られ、報復合戦がエスカレートする可能性がある。この点について国防総省の中東担当補佐官だったジャスミン・ガマル氏は、ここで重要になるのが、双方の不信感と、交渉のチャンネルがないことだと指摘する。

 ガマル氏は「公式であれ、非公式であれ、意思疎通がなされていないと、互いが相手の行動を勝手に解釈することになり、事態がエスカレートする可能性が高い」と述べた。

 トランプ政権の国家安全保障会議(NSC)で大量破壊兵器拡散防止を担当したエリック・ブリュワー氏も、戦争では綿密な計画が立案され、これに基づいて作戦が進められるが、戦争がシナリオ通りに進むことはほとんどないと、戦争の難しさを指摘する。

 また、戦闘が勃発した場合、米軍は大規模な攻撃で数日、数週間でイランの反撃を封殺しようとするだろうが、シンクタンク、センチュリー財団の中東専門家マイケル・ハンナ氏は「大規模な空爆で望んだ結果が得られるとは到底考えられない。降伏ではなく、エスレートするだけだ」と海や空からの攻撃だけで、イランを屈服させることは不可能と主張する。

◆困難伴う地上軍派遣

 地上軍を派遣することになれば、米軍はいっそうの困難に直面することになる。国土はイラクの3倍と広く、地形も、砂漠、山岳地帯、沼地と変化に富む。民間の情報企業ストラトフォーはかつてイランを「要塞」と呼んだ。

 ボックスは、イランに侵攻し、首都と国内を支配下に置くには160万人の兵員が必要になるとみている。現在の米軍に動員できる数ではない。イラクに派遣された米兵は最大で18万人だった。

 今年初めまで米サイバー軍の副司令官だったビンセント・スチュワート退役海兵隊中将は、軍事力で米軍に劣るイランは「可能な限り、直接的な軍事衝突は避けようとするだろう」と指摘、米国の権益にサイバー攻撃を仕掛け、世界各地でテロなどを起こし、米国を揺さぶろうとすると予測する。

 米国もイランも戦争は望んでいない。戦争は一度始まれば、意図しない事態に発展するという専門家の指摘に耳を傾けるべきだ。

(本田隆文)

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