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偏差値を並べた大学受験情報提供の週刊朝日は十年一日の誌面作り

◆予備校の資料を駆使

 かつて、新聞社系の週刊誌は、親(おや)メディアの新聞で、受験戦争の過熱ぶりに非難のつぶてを加えながら、片や、2、3月の受験期には、当の誌面で競い合って大学ごと出身高校別合格者数を掲載し、受験熱をさらにあおった。世の顰蹙(ひんしゅく)を買いながらも、この間、同じ企画をずっと続けているのは、受験生や関係者らの間で、毎年一定の購買が確実に見込まれるからだろう。

 ところが昨今は、さらに昨年12月あたりから、あるいは夏場の記事枯れの時期にも、予備校のデータなどを基に大学のランク付けや有名高校の東大合格者数予想などをやっている。週刊朝日12月21日号「究極の併願200 W合格者はどちらを選んだ?」もその延長線上にある受験ものだ。

 「主な併願200パターンを徹底比較してみました」(リード文)という内容で、複数の大学に合格した受験生の声を拾い、編集部が大手予備校・東進ハイスクールのデータなどを基に、大学間の優劣を引き出している。

 8ページに及ぶ特集で、偏差値と入学比率の数字が細かく並べられた表が続いて、それをいちいちチェックしながら読み進めていくのは、なかなかしんどい。偏差値教育の弊害が叫ばれるようになってから、ずいぶんと時間が経(た)つというのに、いまだ、大学の評価に偏差値が付きまとっているのに驚くばかりだ。恐らく表に関しても、予備校の膨大なデータを引き移しただけだろうが、偏差値を並べた大学受験情報の提供は、十年一日の誌面づくりというほかない。

 ただし記事では、「受験する大学・学部を選ぶポイント」として、「まずは自分の将来を考え学びたいことを決める。学問の領域は広がっているので、従来の大学・学部の枠組みにこだわらなくてもよい」として、その実例を織り込みながら、最近の大学事情や受験生の指向も探っている。

◆羅列された偏差値表

 例えば、東京外語大国際社会学部と早稲田大国際教養学部にW合格し、結局、早大を選んだ男性の場合。東京外大は歴史があって国内最難関。当初は第1志望だった。ところが、早大国際教養学部を知るうちに考えが変わった。同学部は早大が進める国際化の象徴で、「ほぼすべての授業が英語。学生に占める留学生の割合は約3割と高い」という。

 本人は「早稲田のほうが英語力が伸ばせると思いました。総合大学として多様性があり、様々な刺激を受けられる。スポーツも盛んで、校風が合っていると思ったんです。(後略)」と。

 偏差値だけが、大学選びの基準ではない、というところを見せている。

 私学理系では「東京理科大の存在が際立つ」として同大副学長が「実力をつけた人しか卒業させないという『実力主義』を掲げ、学生を伸ばす大学として評価されています。火災科学や光触媒など国立大に負けない研究もある。今後は人工知能(AI)などの分野にも力を入れていく予定」だとコメントしている。これも、“偏差値、くそ食らえ”という大学側の挑戦例だろう。

 しかし一方で、こうした大学側の変化は、むしろ大学の経営の側面が大きく反映していることを、受験情報と同じ比重で、受験生やその親御さんたちにちゃんと知らせておくべきだ。記事にはないが、今、少子化のため各大学は生き残り策に懸命で、従来の大学・学部の枠組みにこだわらない学際的な総合学部をつくったり、逆にテーマを特化して学生集めに苦心している。

 記事では「国公立大の併願先では、東京大では早稲田大や慶應大、京都大では同志社大や立命館大などがある。(中略)W合格した場合は、ほとんどが国立大へ進学している」という。私大に比べ国立大学の教育費、経費の多さはやはり魅力的だ。

◆大学側の事情知らせ

 ただし、官立系も法人化を経て、国の援助が減り、安閑としておれない。その一方で、民間企業からの受託研究費を得たり、教官の発明による特許収入を得た場合、この一部を直接大学に還元させたり、研究成果の事業化も可能になった。大学人に経営の手腕が問われることになり、それが学生の教育にどう影響するか。

 さらに大学は教育・研究のグローバル化の波もかぶりつつある。海外からの留学生の受け入れをいかにするかは東大始め、多くの大学の課題だ。こうした大学の様変わりをカバーしてこそ、ちゃんとした受験情報になる。

(片上晴彦)

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