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沖縄知事選で「辺野古」を争点とする朝日・産経とあるべき姿を説く読売

◆保革一騎打ちの構図

 自民、公明、維新など4党が推薦する佐喜真淳・前宜野湾市長と、共産、立憲民主、自由など「オール沖縄」が擁立した玉城デニー・前衆院議員の事実上の保革一騎打ちとなった沖縄県知事選挙(13日告示)は30日の投開票に向け、激しいデッドヒートを繰り広げている。

 地方自治のトップを選ぶ知事選は本来、道府県民の生活や経済などの向上を図る政策を中心に問われるものである。だから「沖縄県の将来像をどう描いていくか。各候補者は、現実的な政策に基づいて、実りある論戦を展開すべき」(読売14日社説)ことは言うまでもない。だが、沖縄ではそれが違ってきた。知事選のたびに米軍普天間飛行場(宜野湾市)の辺野古移設の是非が問われ、それが全国の注目を集めてきたからだ。

 亡くなった前知事の翁長雄志氏は4年前に、普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画反対を掲げて当選すると、これを県政の柱に据え国と訴訟を繰り返すなど全面対決してきた。翁長氏は前任者の仲井真弘多知事が行った辺野古沿岸部の埋め立て承認の取り消し処分を行ったが、この処分は「違法」とする最高裁判決(2016年12月)で敗北した。翁長氏が亡くなると「(知事選告示前の)知事不在という状況の中にもかかわらず、謝花喜一郎副知事が前知事の辺野古沿岸の公有水面埋め立て承認を撤回した。改めて辺野古問題をめぐる争点をつくって選挙に挑」(小紙13日付社説)んだのである。

 選挙戦の第一声は、佐喜真氏が「まずやるべきことは県民の所得を上げること。子供たちの貧困を撲滅し、保育所や医療の無償化をめざしていく」と訴えた。対する玉城氏は「辺野古の新基地建設は認めない。工事は絶対に断念させる」と翁長県政の継承を掲げた。

◆正論通じるか疑問も

 沖縄知事選について新聞論調は産経(16日主張)と朝日(14日社説)が辺野古移設の是非では真っ向から対立するが、どちらも移設を選挙戦のテーマとして正面に据えて戦うことを論じた。産経が「辺野古移設の意義を説け」、朝日が「『辺野古』を論じよ」の見出しである。

 その中で産経は「普天間の早期返還自体は、佐喜真、玉城両氏とも求めている。住民の安全を考えれば当然だ」。なのに「(玉城氏は)辺野古移設に反対している。これでは普天間返還は実現しない。住民の安全が損なわれるではないか」と批判。「基地の移設を含む外交・安全保障政策は本来、国の専権事項であって、知事に覆す権限はないことを改めて冷静に考えてほしい」と諭す。正論ではあっても、その理が沖縄の県民感情に通じるかどうか。

 朝日は県内経済の発展、福祉・教育の充実など論ずべき課題は多いとする一方で、「憲法が定める地方自治とは何か。中央政府と自治体はいかなる関係にあるのか」など、辺野古問題は「基地建設の是非にとどまらない」ことを強調した。2月に当選した名護市長が辺野古問題に明確な姿勢を示さなかったことに「『辺野古隠し』との批判」が多くあることにも触れ「考えを明確にして、論戦を深めてもらいたい」と主張した。やんわり公正な論調を巧妙に装いながらも、社説は結びで「(改めて思うのは)沖縄に深い分断を持ち込んだ政府の罪深さだ。/そうした政権の振る舞いもまた、審判の対象となるだろう」と地金がのぞいている。

◆大切な県民生活向上

 前述したように知事選のあるべき姿を冒頭で説く読売は「移設の賛否を最大の争点とする選挙戦が繰り返されることに、違和感を抱く県民も少なくないだろう」と指摘。「沖縄県には、日本にある米軍基地の7割以上が集中する。負担軽減を進めるとともに、幅広い観点から沖縄を豊かにする施策を冷静に議論」することを求めた。

 全国最低の県民所得などの課題を上げ「インフラ整備や産業振興などを総合的に進めて経済を活性化させ、県民生活の向上を図ることが大切だ」と説いたのは極めて真っ当な主張と言うべきだろう。

 小紙は民主党の鳩山由紀夫内閣(09年)が辺野古移設白紙化から結局、辺野古案に戻ったが、当時民主党議員だった玉城氏にはその政治姿勢も選挙で問われることを指摘した。

(堀本和博)

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