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NHKの強欲はチューナーレスTVを普及させるのか?

 NHKは自由競争からも公共性からも逸脱する存在ですが、そのNHKに受信料を払わないで済む道が、ひとつ出て来たかもしれません。チューナーレスTVです。もしもチューナーレスTVが普及して来ることになれば、NHKに道連れにされる形で業界自体が衰退する民放にとってはたまったものではないかもしれませんが、消費者にとっては選択肢が増えることにつながりますので、間違いなく歓迎すべき話です。


自由競争からも公共性からも逸脱するNHK

NHK放送センター(Wikipediaより)

NHK放送センター(Wikipediaより)

 『NHKはイラネッチケー「逆転勝訴」で自滅の道を行く』などを含め、当ウェブサイトでこれまで何度となく取り上げて来た話題が、「NHK受信料利権」という問題です。

 このNHK受信料は、まさにNHK問題の中核を占めているものであり、端的にいえば、NHKが自由経済競争からも公共性からも著しく逸脱した、社会正義に反する存在である、という当ウェブサイトなりの問題意識の象徴でもあります。

 考えてみればわかりますが、現行の放送法は、かなりおかしなものです。

 私たち一般国民は、もしも家庭にテレビを設置したら、「テレビを設置した」というだけの理由でNHKと受信契約を結ばなければならず、また、決して安くない受信料を毎月支払わなければならないからです。たとえNHKの番組を1秒たりとも視聴していなかったとしても、法的には受信契約を結ばなければなりません。

もちろん、「NHKに公共性がある」と言い張るならば、「税金と同じようなものだ」という見解も成り立たないわけではないのですが、もしそう考えるならば、『NHK「1人あたり人件費1573万円」の衝撃的事実』でも取り上げたとおり、NHKの乱脈経営について問題視しないわけにはいきません。

 というのも、NHKは連結集団内に、年金資産を含めて1兆円を優に超える金融資産、時価数千億円を超えるであろう不動産物件などを大量に蓄え込んでおり、また、職員に対しては1人あたり単純計算して1600万円近い人件費を計上している組織だからです。

 少なくともNHKの運営を受信料制度で賄うならば、余計な資産を国庫返納させ、職員に対する人件費は国家公務員並みに引き下げ、さらにはお笑い番組から歌番組、アニメなど、民放と競合するような番組の制作をやめるなど、経営の大幅な合理化が必要ではないでしょうか。

 すなわち、「自由経済競争」の観点からは、一律に視聴者から「受信料」を徴収していることは大きな問題ですし、「公共性」の観点からは、やたらと高い人件費、幅広過ぎる番組の種類など、公共性を大きく逸脱していることも大きな問題でしょう。

利権にしがみつくNHKの強欲

 もっとも、当ウェブサイトで受信料を「利権」と呼ぶのには、理由があります。

 NHKがあまりにも強欲過ぎるからです。

 実際、放送法第64条第1項本文の規定をじっくり読むと、「協会の放送を受信することができる受信設備」、とあり、これはテレビとは限りません。

放送法第64条第1項本文


協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。

 かつて流行した携帯電話のワンセグ機能、あるいは自動車に搭載しているカーナビであっても、放送を受信することができるのであれば、それはNHKの受信契約の対象となる、といった解釈もあるようですし、実際にはこれらを所有していると、NHKが契約を迫ってくる、といった報告もあります。

 したがって、もしもあなたが「NHKに対し絶対に受信料を支払いたくない」と思ったならば、基本的には次のどちらかの行動をとる必要があります。

A.放送法の規定に違反し、NHKと契約せずにテレビ、ワンセグ、カーナビなどを所有し続ける
B.放送法の規定に違反しないよう、テレビ、ワンセグ、カーナビなどを一切所有しないようにする

 Aの方法は、脱法行為であり、お勧めできません。

 そうなると、「合法的に」NHKに受信料を支払わないようにするためには、結局はBの方法しかないのです。

 まさに、利権にしがみつくNHKの強欲さから離れるためには、私たち一般人は、NHKの放送を受信可能なあらゆるデバイスを捨てることでしか対応できない、というわけです。

地上波テレビってそんなに魅力的でしたっけ?

 ただ、ここでふと疑問に感じるのですが、私たちの生活にとって、果たしてテレビというものは、そこまで重要性が高い存在なのでしょうか。

 地上波テレビの場合、チャンネル数は非常に少なく、東京でもせいぜい8チャンネル程度しか視聴することができません(※NHK2チャンネル、民放6チャンネル)。ただし、地区によっては近県の放送が入るケースもあるようですが、それでもせいぜい10チャンネルが良いところでしょう。

 また、地上波テレビでは、「自分が見たいときに見たい番組を見る」ということができません。地上波テレビの場合は、視聴者が放送時間に合わせてテレビの前に座っていなければならないのです(※録画機能を使ったタイムシフト視聴もできないわけではありませんが…)。

 これに対し、社会がインターネット化するにつれて、インターネット上にはさまざまなサービスが出現しています。

 多様な動画が原則として無料で楽しめるYouTubeなどの動画サイトもそうですし、Netflixやアマゾンプライム、Huluといった有料の動画配信サイトもあります。なにより、これらの動画サイトでは、何百、何千、何万という動画をオンデマンドで視聴することができます。

 つまり、動画サイトの場合は地上波と比べて圧倒的に多様なコンテンツを、いつでもオンデマンドで楽しむことができるわけであり、ユーザーの利便性という点では大きな違いがあります。

 このように考えると、ある人がいったん「テレビを捨てる」という決断をすれば、その人はもう地上波テレビに戻ることはないのかもしれませんし、強引に契約を迫ろうとするNHKの姿勢は、却って人々のテレビ離れを加速させることにつながりかねないと思う次第です。

株式会社ドン・キホーテのチューナーレスTV

 こうしたなか、株式会社ドン・キホーテは昨日、「AndroidTV 機能搭載チューナーレス スマートテレビ」を12月10日以降、全国のドン・キホーテ系列店にて発売することを発表しました。

 株式会社ドン・キホーテによると、今回発売するのは同社のオリジナルブランドのスマートテレビで、24型が19,800円、42型が29,800円(いずれも税別)なのだそうです。

 同社はこの「チューナーレステレビ」について、次のように述べます。

「本製品はあえてチューナーを外して、アンドロイドOSを搭載したインターネットでの動画視聴に特化した商品です。また、接続環境を充実させているためインターネットでの動画視聴以外にも、家庭用ゲーム機を接続して大きな画面でゲームを楽しむことや、DVD・ブルーレイプレイヤーに接続して映画を鑑賞、ノートパソコンを接続してデュアルモニターとして活用するなど、ニーズに合わせて様々なシーンでご使用いただけます」。

 この製品自体が良いのかどうかはわかりませんが、考えてみれば、地上波テレビ自体が映らないテレビだと、先ほどの放送法の規定を読む限りは、NHKとの受信契約の義務は生じなさそうに思えます(※ただし保証はできませんが…)。

 また、このドンキTVの売れ行き次第では、他社もこうした動きに追随するかもしれません。

 もちろん、この手のチューナーレスTVを買う動機は人それぞれでしょうし、「NHKとの受信契約を結びたくないから」というものだけでなく、単純に「地上波テレビが面白くないから」、「YouTubeなどの動画サービスを利用しようと思うから」、といった動機もあるとは思います。

消費者の選択が増えることは良いこと

 ただ、少なくともチューナー付きTVを買うとNHKと受信契約を締結しなければならないという現行法の建付け、そしてNHKがなかば強引に受信契約を迫る強欲さを示していることを思い起こすならば、今後は私たち消費者にとって、選択肢が増えることは歓迎すべきでしょう。

 もっとも、チューナーレスTVが普及するような事態が発生すれば、NHKだけでなく、地上波の民放各局からも、同時に視聴者離れが発生しするかもしれません。

これが『NHKは、民放を道連れに放送業界を破壊しているのか』などでも指摘してきた、「NHKの強欲が民放を道連れにしてテレビ業界を衰退・滅亡に導く」という現象であり、個人的にはこの「予言」が遠くない未来において的中することを予想する次第です。


「新宿会計士の政治経済評論」より転載
https://shinjukuacc.com/20211207-04/

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