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元島民らの意向反映へ 「北方四島連絡調整会議」を設置-篠原正行氏

きょう37回目の「北方領土の日」

北海道総務部北方領土対策本部局長 篠原正行氏に聞く

 第2次世界大戦終了後、旧ソ連(現在のロシア)は北方四島を武力占領し、日本人の住民を全て島外に追い出し、以来、不法占拠を続けている。北方領土の返還運動は1945年から始まり、すでに70年以上の歳月が過ぎたが、この間の日本政府による領土交渉は紆余(うよ)曲折があったものの進んでいるとは言い難い。昨年12月にはプーチン・ロシア大統領が来日し、安倍晋三首相との首脳会談が開催されたが、領土返還への具体的な道筋を付けることはできなかった。そこで、北海道総務部北方領土対策本部の篠原正行北方領土対策局長に、今後の取り組みを聞いた。
(聞き手=札幌支局・湯朝 肇)

北方領土返還運動は戦後すぐに始まり、70年以上の歳月が経過した。昨年12月の安倍首相とプーチン大統領との首脳会談も領土返還の見通しが立たないまま終わったが、会談の成果について、北海道としてどのように受け止めているか。

篠原正行

 昨年12月15、16日の2日間にわたる安倍首相とプーチン大統領の日露首脳会談の後、両首脳の共同記者会見が行われ、いくつかの合意を見ることができた。領土問題については、元島民の方々をはじめ、多くの国民が期待していた北方領土の返還について、具体的な言及がなかったことには残念な思いがある。

 しかし、両首脳が「私たちの手で終止符を打たなければならない」との強い決意を確認したことに加え、政府において、平和条約の締結に向けた重要な一歩となり得る「特別な制度」の下での北方四島における共同経済活動の検討が開始されること、さらには元島民の墓参などに関する制度改善の迅速な検討などで合意に至ったことは、両首脳の信頼関係に基づく決断と考えており、意義のある会談であったと認識している。

元島民1世の高齢化が進んでいる。北方領土返還運動を進めていく上で後継者の支援育成は急務だが、北海道はこれまでどのような対策を講じてきたか。また、今後、どう進めていくのか。

北方領土

 これまで返還運動の先頭に立ってきた元島民1世の平均年齢は80歳を超え、高齢化が進んでいることは事実。それだけに後継者の育成や若い人たちへの啓発は急務になっている。道としては、将来を担う若い方々にも、この問題への理解を深めていただけるよう、ポスターコンテストや作文コンテスト、中学生や高校生による北方領土の早期返還を願う合唱コンサートの開催などを通じ、領土問題解決に向けた世論形成や運動後継者の育成に取り組んできたが、さらに力を注いでいきたい。

 今後とも、北方領土問題に対する国民の関心が低下しないよう、各種の啓発活動や北方領土セミナーなどを通じて、領土教育の充実を図りたい。

 特に、元島民の語り部による講話を主とした北方領土セミナー(出前授業)は、2016年度、道内の学校7校、道外4カ所で行った。来年度も継続して行っていきたい。道としては、国や関係団体などと連携を密にし、粘り強く国民世論の喚起や後継者の育成などに努めていこうと考えている。

安倍首相は昨年、プーチン大統領との首脳会談で「新しいアプローチ」を打ち出して交渉に臨んだ。これと関連し、地元、北海道として政府にどのような点を望むか。

 日露首脳会談の合意を受け、政府において、平和条約の締結に向けた重要な一歩となり得る、北方四島における共同経済活動や、また元島民が高齢であることを考慮した墓参に関する制度改善などについて検討を行っているものと承知している。

 道としては、こうした政府の検討に適切に対応するため、1月25日に千島連盟(千島歯舞諸島居住者連盟)と根室管内1市4町とで構成する「北方四島連絡調整会議」を設置し、意見交換などを行った。今後、地元の意向が反映されるよう国に提案していこうと考えている。

北海道は今年、重点的にどのような対策を講じていく計画か。

 北方領土の一日も早い返還は、元島民の方々だけでなく、道民の、そして国民の共通の思いだ。北方領土問題の解決のための外交交渉を粘り強く推し進め、領土問題が置き去りにされないよう、国に求めていく必要があると考えている。

 また、政府交渉の原動力としての国民世論を盛り上げていくことが重要なので、国や関係団体などとしっかりと連携して、なお一層の世論喚起に努めていきたい。

 さらに、昨年の日露首脳会談で合意された事項などに対応するため、「北方四島連絡調整会議」で、北方四島における共同経済活動や元島民の墓参に関する制度改善についての課題や意見・要望を取りまとめた上で、国に提案していくとともに、国と歩調を合わせながら共同経済活動などの意義や政府間の協議結果などについて、周知を図っていきたい。

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