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「おばあちゃん仮説」

 先月出た『未来の年表・人口減少日本でこれから起きること』(河合雅司著、講談社現代新書)は、急速な人口減少が進行するわが国で、今後どのようなことが起きるかを時系列で紹介している。

 その中で取り上げられているのは、「『おばあちゃん大国』に変化」(2017年)、「女性の2人に1人が50歳以上に」(2020年)、「認知症患者が700万人規模に」(2026年)、「高齢者人口が約4000万人とピークに」(2042年)など。さらに介護離職の増大、死亡数の激増で火葬場が不足したり、身寄りのない高齢者の生活保護受給者が激増して国家財政がパンクすることも懸念されている。

 この本を読みながら、以前知人の研究者から聞いた話を思い出した。人類学の「祖母仮説(おばあちゃん仮説)」という説だ。

 チンパンジーなど大半の霊長類には死ぬ直前まで繁殖能力がある。しかし人間の女性の場合、50歳前後で繁殖能力が止まった(閉経した)後、平均80歳過ぎまで生き続ける。なぜ人間にそのような高齢期があるのか。それは若い母親の出産・子育てを助けるため、つまり孫の面倒を見るためではないかというのである。人間の子供の養育期間は他の動物に比べて長く、母親が続けて出産すれば育児が大きな負担になる。そのため祖母が子育てを支援することで、母親は短い間隔でも次の出産ができるようになるというわけだ。

 もちろん祖母仮説が正しかったとしても、急速な少子高齢化が即解決するわけではない。ただ、その時期が出産・子育てを助けるために “天から与えられた”特別の期間だと分かれば、私たちの人生観が変わるだろう。出産や子育てに対する捉え方も変わるはずだ。また祖母仮説が正しいとすれば、祖父母・父母・孫という3世代の家族のあり方も、人類が生き続けるための自然の形態だと言えるかもしれない。(誠)

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