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都知事選と政治の現実

 先の都知事選は政治の現状を知る上で、実に示唆するところの多い選挙だった。

 「知事と議会は両輪です。一輪車にならないように」。新知事を迎えた都議会議長は開口一番こうクギを指し、その直後に両者の記念撮影を求める報道陣に対し「あなたの要望に応える必要はないから」と述べ撮影を拒否した。自分から「知事とは両輪にならないよ」と態度で示したのだから、先の言葉は威嚇以外の何物でもない。同じ日、60人を抱える都議会自民党もナンバー3の総務会長ら2人だけで新知事を迎えた。しかも総務会長は「たまたまここにいた」とのたまう。

 小池知事が選挙運動中に、「自民党都連はブラックボックス」「都連・都議会のドンが都政を不透明なものにしている」と批判した時、多くの有権者は対立構造を作って有権者・メディアを味方につけようとする選挙戦術であり、実際にそこまでのことはないだろうと思っていたはずだ。ところが議長や自民都議の大人げない対応は事態の深刻さを立証する結果となった。

 醜態を晒(さら)したのは自民だけでない。野党4党も共に担ぎ出した有名ジャーナリストの女性スキャンダルを二つの週刊誌が報じた時、本人が「事実無根」「弁護士を通じて刑事告訴する」と突っぱねると、いつも与党議員を週刊誌の情報をもとに舌鋒鋭く批判し、説明責任を求める民進党の蓮舫、山尾志桜里、辻元清美、長妻昭、共産党の田村智子、吉良よし子などの錚々たる弁士が事件には口をつぐんだまま応援を続けた。女性の人権、尊厳性が問題となる事件なのに真実を質(ただ)そうともしないのは、彼(女)らが自分たちの党利党略を人権や人間の尊厳性という普遍的価値より優先しているということに他ならない。

 感性鋭い新有権者はこんな現実を敏感に察知するはず。彼らの政治不信を放置するか、政治を変えるため一票を行使する人にするか、大人の責任は重い。(武)

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