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「デジタル化とは、人と人をつなぐこと」

台湾のデジタル担当政務委員(大臣) オードリー・タン氏

東京都立大学グローバル教養講座を公開

 東京都立大学はこのほど、グローバル教養講座を動画配信サイト「ユーチューブ」に公開した。「デジタル ソーシャル イノベーション」と題して、デジタル技術による社会問題の革新的な解決法を、台湾のデジタル担当政務委員(大臣)であるオードリー・タン氏が解説した。後半は同大学の学生からの質問に答えた。以下は講演要旨。(竹澤安李紗)


政府と市民の信頼関係構築が土台

「デジタル化とは、人と人をつなぐこと」

オードリー・タン台湾デジタル担当大臣(写真は東京都立大学グローバル教養講座のユーチューブ配信から)

 台湾がロックダウンせずに、パンデミックに対処することができたのは、「速さ・公正さ・楽しさ」が3本柱となるソーシャル・イノベーションを、デジタル技術によって実現したからだった。

 2020年1月1日、いち早く、新型コロナウイルスの情報をキャッチした台湾政府は、「武漢から台湾に来る航空機の乗客全員を検査せよ」という命令を発した。その時点から03年のSARSが再来したかのように対応した。また、2月の初旬に導入されたICチップ入り健康保険証で利用できる、公正な「マスクの配給システム」は、政府がシビックハッカーと協力して、開発したものだった。

 他にも台湾政府は、コロナ禍で拡散されたデマ情報に対し、「デマよりユーモアを」という考えのもと、愉快な言葉遊びやイラストなどで、重要な政府の公式情報を即時に発表してきた。このようなソーシャル・イノベーションが実現できた土台には、これまでに築き上げてきた、政府と市民による双方の信頼関係によるものと分析している。

◆   ◇   ◆

 続いて、学生の「未来が予測しづらいコロナ禍のいま、進路に自信が持てない。人生における意思決定の秘訣を教えて欲しい」という質問に回答した。

 ある意味、コロナによって未来を予測しやすくなった。世界的なデジタル化は、コロナ禍以前は方向性の合意には至っていなかったが、パンデミックが大きな加速剤になった。私は14歳の時に、台湾の民主化を目の当たりにした。1996年に行われた初の総統選挙は変化の時だった。コロナによるパンデミックが、今日のデジタル民主主義の展望を変え、台湾の文化への見方も変わった。

 14歳で中学を中退し、インターネット業界に入った。インターネットの基準や文化に導かれ行動した。個人としてではなく、コミュニティーの一員として判断するようになった。自己を発見し、己の文化を主張するネット上のコミュニティーだ。だからこそ「デジタル化とは人と人をつなぐこと」だと主張する。機械と機械をつなぐだけではない。

 後悔しないためにも、自分の情熱を共有できるコミュニティーを見つけてほしい。公正さと想像の楽しさを共有できるコミュニティーを。市場性のあるスキルを身に付けたとしても、それは自分の属するコミュニティーの文化を発展させるためのものだ。いずれ、その定義が「サブカルチャー」ではなく、「カルチャー」となり、未来はあなたのカルチャーを通して実現される。

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