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北海道名寄産業高、 ドローン使いICT体験講習

ソサエティー5・0時代に向け、高校生が先端技術を体感

 文部科学省は令和4年度から始まる高校を対象とした新学習指導要領の中でAI(人工知能)などを取り入れたソサエティー5・0に対応した教育の態勢づくりに言及している。それに合わせて教育現場ではICT(情報通信技術)教育を進めている。北海道名寄産業高等学校でこのほどドローンの操縦を盛り込んだICT体験講習会が行われた。(札幌支局・湯朝 肇)


ドローンの操縦知識、資格、法制度、活用法などを学ぶ

北海道名寄産業高、ドローン使いICT体験講習

ドローンについて説明する株式会社スカイスパイスの成田泰士社長

 「この中でドローンを操縦したことのある人はいますか」――3月19日、道北にある名寄産業高校の大きな教室で講師となっている株式会社スカイスパイスの成田泰士社長の声が響き渡る。

 同校ではこの日、実際に企業で活躍している技術者を招き、ICT教育の体験講習を実施。集まった機械・建築システム科の1年生と2年生の計31人(現在は2、3年生になっている)が、ドローンの操縦体験を含めたドローン講習と建築現場でICT技術を駆使している株式会社コマツの「スマートコンストラクション」の説明を受けた。

 最初のドローン講習では、さまざまな分野での活用が期待されるドローンの活用事例や操縦する上での知識、さらに取得が必要な資格、法的制度などの解説を成田社長がおよそ1時間行った。

 同社長は教室内で実演を兼ねながら「すでにドローンは建設現場での測量や農業での農薬散布など広い範囲で利用されている。ドローンを使った荷物の運搬実用化に向けた実証実験が進められ、さらに最近は企業のプロモーション映像でも効果を挙げている」とドローンの可能性を紹介、さらに「ただ、活用の範囲が広がれば、それだけ規制も厳しくなる。事実、ドローンの操縦は航空法という法律で規制されています。もしも違反すると最高50万円以下の罰金となるので注意が必要」と近年の法的制度について話をした。

北海道名寄産業高、ドローン使いICT体験講習

ドローンの操縦体験をする北海道名寄産業高校の生徒たち

 ドローンの概略について説明を受けた後、生徒たちは、体育館で具体的な体験実習として、ドローンに内蔵されたセンサーを切断した状態とセンサーを働かせた状態での安定飛行の体験、さらにゴーグルを着けパソコンを使ってバーチャルな状態いわゆる目視外飛行の体験を2時間ほどかけて行った。

 実際に体験した1年生(当時)の安藤将大君は「やはりセンサーを切断したドローンの操縦は難しい。ただ、長い時間やれば慣れると思う。将来は建築設計の仕事に就きたいのでドローンは使いこなしたい」と語る。

労働者不足を解決、スマートコンストラクションも学習

 ドローン体験の後、生徒たちは昼食を挟んで最先端のICT技術とされるコマツの「スマートコンストラクション」について説明を受けた。建設現場でよく使われるブルドーザーだが、これを使いこなすには数年かかるといわれている。一方、人口減少によって労働者や熟練者が不足する事態に陥ると危惧される中、課題を一気に解決しようというのが「スマートコンストラクション」だという。

 例えば、道路の建設工事でも情報通信技術やGNSS(全球位測位衛星システム)やセンサーが内蔵されたICTブルドーザーを使えば、オペレーターが未熟でも正確にしかも短期間で工事が完成するというシステムなのだ。

産業界に合わせ、職業高校でのICT教育の充実は必至

 今回の「ICT体験講習会」は北海道建設部の下で平成30年度より高校を対象に進められている企画だ。これについて建設部主査の名古屋亜美氏は「労働人口の減少が叫ばれる中、建設現場でのICTの活用状況やドローンの操縦体験を通してこれから社会に出る高校生に建設産業への理解を深めていってほしい」と語る。令和2年度はすでに釧路工業高校でも講習会を行っている。

 名寄産業高校では今後、課題研究として1年間かけてドローン学習を行っていく予定だ。「ドローンを使いこなしていくためには多くの資格が関わってきます。具体的にグラウンドでも飛ばしていきます。そのためには最低10時間以上の飛行が必要。建築システム科の課題研究として毎週金曜日の4、5,6時間目を授業として充て、12月には校内発表会でその成果を報告することにしています」と同校の鐘ヶ江貴賀雄教諭は語る。

 ICT化が進む産業界にあって、学校現場とりわけ工業化や農業科を持つ職業高校でのICT教育の充実はもはや避けられない状況になっている。

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