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「生理の貧困」が浮き彫りに―学校での無料提供の声高まる

 月に1度、女性の体に訪れる「生理」。出産のために必要不可欠な生理現象です。女性同士でもあからさまに話すことはためらわれるデリケートな話題ですが、人それぞれ生理の悩みはあるものです。人によって経血の量も違えば、生理痛の重さも異なり、使用する生理用品も多種多様です。

 日本の生理用品は世界的にみても品質がよく、次々と新しく良質なものが販売されています。つくづくこの良質な生理用品が手に入る時代でよかった、日本に住んでいてよかったと生理がくるたびに思っています。

 しかし、昨今「生理の貧困」というワードが話題となり、生理用品が溢れている日本で、生理用品が買えないほどの貧困に苦しんでいる女性、特に若者が辛い思いをしているという事実が知られるようになりました。

スコットランドから始まったイギリス全国の小中高での生理用品無料提供

 「生理の貧困」が日本で知られるようになったのはごく最近ですが、世界では以前から関心が寄せられていました。貧困や差別のない社会を目指すNGO団体で、世界の子どもの権利非営利団体である Plan International の英国支部「Plan International UK」が、2017年にイギリスの女性1000人を対象に生理に関する調査を行いました。その結果、10%が生理用品を「買えない」と回答し、12%が「節約のために生理用品の代わりとして、ティッシュやキッチンタオル、ソックスなどを使用した」と回答しました。

 また、初潮を迎えたときの対処を知らなかったと26%が回答し、経済的な問題で、友人から生理用品を借りたことがあると回答した割合は7%、価格が高いため、以前よりも適切ではない生理用品に変更したと19%が回答しました。

 また、2018年にスコットランドの若者支援団体「ヤング・スコット」が女子学生約2000人を対象に実施した調査では、スコットランドの学校や大学などに通う約4人に1人が、生理用品を手に入れることに苦労している現実が明らかになりました。

 これを受けてスコットランド当局は同年9月に、中学校・高校・大学に通う女子生徒に対し、生理用品を無償で提供していました。そして2020年に、世界で初めて生理用品を全ての人に無料で提供する法案が可決しました。スコットランドの一早い対応に引き続き、イギリス全国でも同年1月から、小学校、中学校、高校で生理用品が無料で配布されるようになりました。

 イギリス以外でも、ニュージーランド政府が、2021年6月から、18歳までを対象にすべての学校で生理用品を無料で配布すると発表しており、フランス政府も、同年9月から、すべての大学や学生寮で生理用品を無料で配布すると発表しており、各国に生理用品無料提供の動きが広まっています。

コロナ禍の困窮により学生の約2割が生理用品買うのに苦労と回答

 日本では、大学生が中心となって作られたグループ「#みんなの生理」が、コロナ禍で経済的に困窮する学生が増える中、生理用品が買えなくなるなど、日常生活に支障の出ている人がどのくらいいるか、高校生以上の生徒、学生を対象にインターネットでアンケート調査を行いました。

 その結果、過去1年間に、経済的な理由で生理用品を「買うのに苦労したことがある」と回答したのは20%で、「買えなかったことがある」と6%が回答しました。また、「生理用品を交換する頻度を減らしたことがある」が37%、「トイレットペーパーなどで代用したことがある」も27%に上りました。

 コロナ禍での経済的困窮により生理用品を満足に手に入れることができず、代用品を使ったり、節約したりしたことがあるという割合の多さに驚きました。この調査結果が話題となり、「生理の貧困」というワードがSNSや各メディアで取り上げられるようになりました。SNSでは生理の貧困の実態に対して、生理の貧困を経験したことがある声や、生理の貧困を理解できないという声など、様々な声が上がっています。

 「プチプラコスメでおしゃれを楽しみ、友達とのおしゃべりに興じる女の子が、ナプキンの代わりにティッシュを当て、頭の片隅で常に経血漏れを心配しているとしたら、それは生理用品先進国の名折れである」

 「この時代にティッシュをあてているこどもがいる現実。古布や月経カップがあれば金がかからないという意見もありますが、清潔で、どの場所でも使いやすく、血液量にかかわらず使える生理用品を本人に自由に選ばせたい。なぜなら、自分の心と体を支配されずケアできることが大事だから」

 「オムツや生理用品がなんで低減税率の対象じゃないねんって思うわ 避難所生活もそうだけど、個人の備蓄は当然として、避難所運営においてだいぶ蔑ろにされがち」

 「学生の時、母にナプキンを買って欲しいと言えなかったのを思い出した。生理用ショーツもなかった。かろうじて母も使う為ストックされていた小さなナプキンだけで過ごすのは本当に大変だった。若い子が、そんな大変な思いをしなくていいようになって欲しい」

 「子供が関わる全ての施設で生理用品無償化してあげてほしい。実家で用意されたやつ、肌に合わなくてかぶれて困ってたら、『不潔にしてるからだ』って言いがかりつけられて、めちゃくちゃ惨めな気持ちだった。あたおか(※あたまがおかしい)モラハラ毒親と暮らしてる子供の辛い部分、少しでも減らしてあげてほしい」

 生理の貧困で苦しんだ経験者の声や、低減税率の対象でないことへの疑問の声がある一方、やりくりすれば生理用品ぐらい買えるのでは、と生理の貧困は自分次第だとする声もあります。

 「いや、なにか節約したら買えるでしょ 金額の大小はあれど、みんな必需品はやりくりしてるんだけど。 バイトとかしないの」

 「同姓としてあまり言いたくないけど、バッチリメイクとネイル、それ少しナプキンに回すとか」

 「生理は大変だなとは思うけど、貧困と言うのなら、平均で月にどれ位掛かるのかも提示して欲しい そして、そういうのを声高に叫ぶ人ほど、当たり前のように高いスマホ端末を買ってたりする そんなの買ってる余裕あるなら貧困じゃないわ」

 国内の生理の貧困問題は、経済的に困難な状況だけが原因ではありません。親が関心を持ってくれず、小学生からお小遣いの範疇で生理用品を自分のために買わないといけない、父子家庭で父親に言い出せないなど、家庭環境、親子関係によって生理の貧困に陥る場合もあります。

 また、生理用品だけでなく、生理痛が重い場合はピルや薬を飲まないといけない場合もあり、生理用品と合わせると毎月の出費がかなりの痛手になります。生理用品は安いものもあり、お得パックで販売されているものありますが、人によっては経血の量が多く、安いものでもたくさんの枚数を使わなければいけなく、節約のため長時間交換しないでつけ続けるという人もいるようです。しかし、そうすると経血漏れの恐れや、肌のかぶれや、雑菌が入る恐れなど、衛生面でも良いことはありません。

 日本でも、イギリスやニュージーランド、フランスのように学校内で生理用品を無料で配布してほしいと願う声が高まっています。「みんなの生理」のアンケート結果を受け、公明党の佐々木さやか参院議員が参議院予算委員会で取り上げ、「学校での無償配布など、必要な対策を検討して頂きたい」と発言していました。

 現状、すぐにできることではないかもしれませんが、SNSでは、生理用品を学校に寄付したいという声も上がっており、国を動かす前に自分達でできることをしたいという人もいます。学校側が生理用品を管理し、本当に必要な児童、生徒、学生の手に渡るようにするためにはまだまだ時間がかかりそうです。

 また、街のトイレや公民館、児童館のトイレにも無料で提供してほしいという声もありますが、トイレットペーパーのように勝手に大量に持ち出す人が出てくるのではと懸念する声もあります。まずは学校での無料提供が望まれますが、どのように配布するのか、どこに保管しておくのか、どのように受けとるのか、予算はどこから回されるのか、など、考えなければいけない点は多くあると思います。

 諸外国の事例もあるのである程度は取り入れられると思いますが、日本の現状に合った対応も求められます。政府と学校側が上手く連携して、生理の貧困で苦しむ若者に救済の手をさしのべてほしいと願います。

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