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多様性織り成す「和」

 小学生の時からのラグビーファンだ。と言っても、もっぱら観戦するだけだが、それでもラグビーW杯で、優勝候補アイルランドを倒した日本代表の強さはすぐ理解できる。それを一言で表すなら、日本人選手と外国人選手が織り成す「和」である。

 試合前は正直、屈強な選手がそろったアイルランドとのボール争奪戦で劣勢に立ち、試合を支配される時間が長く続くだろうと思ったが、そこで一歩も引けを取らなかったのには驚いた。日本人のスピードや敏捷(びんしょう)性を生かしたパス回しで活路を見いだすにしても、ブレークダウンの攻防で負けては試合にならないが、そこで五分で渡り合うことができたのは、屈強な外国人選手の活躍が大きい。

 日本代表選手のうち、外国出身は15人。しかも、日本に帰化せず外国籍も7人いる。キャプテンのリーチ・マイケル選手はニュージーランド出身で、今は日本国籍を取得している。

 そんな選手構成を可能にしているのは、日本国籍でないと代表選手になれない野球やサッカーなどと違って、ラグビーはプレーしている地域を重視する地域主義を取っているからだ。

 そこで課題となるのは、選手たちの融合をどう図るかだが、それが上手(うま)くいっていることは、試合前の「君が代」斉唱を見て分かった。選手もスタンドにいたジョセフ・ヘッドコーチもしっかり斉唱しており、その姿には日本や日本の文化へのリスペクトが表れていた。

 W杯や五輪のように、国・地域の威信を懸けた大会では、単に競技が好きで上手いというだけでなく、自分が代表する国・地域への愛情の深さもプレーを左右する。ラグビーの日本代表選手たちは「君が代」の歌詞の意味を理解するため、宮崎県の大御神社の「さざれ石」を見学、そこで全員で斉唱したという。日本文化を理解しようとする彼らの努力を象徴するエピソードだ。国歌の意味を知らない日本人も少なくない。彼らに学ぶことは多い。

(森)

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