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岐阜・中3死亡、いじめの情報を軽く扱うな

 岐阜市の中3男子生徒がマンションから転落死した。いじめを苦に飛び降り自殺した可能性が高い。

女子生徒のメモを廃棄

 生徒が亡くなったのは今月初めのことだ。市教育委員会などによると、同学年の男子数人が平手打ちなどの暴行やトイレでの土下座の強要、現金の要求などのいじめを加えていた。生徒の死後、いじめを目撃したとの証言が複数の生徒からあった。

 自殺の前にも、同級生の女子生徒がいじめを告発するメモを担任教諭に提出していた。自殺した生徒が同じクラスの男子2人から、給食の嫌いな食べ物を押し付けられたり、消しゴムを教室の外に投げられたりしたことが、時系列で書かれていた。

 メモには「私も一緒に戦います。先生、力を貸してください」とも記されていた。女子生徒はいじめを見過ごすことができず、必死に訴えたのだろう。

 耳を疑うのは、担任がこのメモをシュレッダーで廃棄したことだ。担任はメモに名前の挙がった2人と面接して問題は解決できたと判断し、学年主任や校長にはメモについて報告しなかった。校長らは県警からの照会で、初めてメモの存在を知ったという。

 先月中旬のアンケートでも、別の同級生が自殺した生徒へのいじめを指摘していた。担任は重大な案件だと考え、校長らに伝えるべきだった。

 岐阜市の早川三根夫教育長は「担任に隠蔽(いんぺい)の意図はなかったが、訴えの重みを軽く捉えていた」と謝罪した。担任が校長らと情報を共有していれば、自殺を防げた可能性もあるのではないか。

 大津市で中学2年の男子生徒が自殺したのを契機に、いじめ防止対策推進法が成立した。これに基づき政府が決定した方針では、教職員がいじめの相談を受けた場合、早急に組織的な対応につなげなければならないとしている。過去の教訓が生かされなかったことが悔やまれる。

 自殺した生徒をめぐっては、1、2年生当時の担任が、いじめがあったと判断し、校長や生徒指導担当らでつくる「学校いじめ防止対策等推進会議」に報告していた。しかし、こうした情報は3年の担任には伝わっていなかった。

 この会議は各校に常設が義務付けられており、スクールカウンセラーや弁護士、医師、PTA関係者らも参加している。情報共有の在り方に問題はないか、他の学校でもチェックしてほしい。

 最近のいじめは、インターネット交流サイト(SNS)に悪口を書き込むなど卑劣なものも少なくない。同じ岐阜県では先月、高校の男子生徒が複数の生徒に無理やり下着を脱がされる様子の動画が拡散する問題が起きた。

 教職員をはじめ学校関係者は連携を強め、いじめの防止に全力を挙げるべきだ。

犯罪との認識共有徹底を

 今回の問題では、いじめた側の行為は暴行罪や恐喝罪などに該当する。

 いじめる側は軽い気持ちかもしれないが、いじめは犯罪だとの認識共有を学校全体で徹底する必要がある。

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