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東京医大不正入試の何が問題か!?

 東京医大の入試において女子が点数を減点されていた事件が連日報道されている。TVや新聞などの大衆メディアではありがちなことだが「何が」「どのように」問題なのかが明確にされないまま論評されているので、論点を整理しておきたい。
1 男女で合格ラインが異なることは不正か‽

 これだけでは不正とは言えない。高校入試で、男子枠、女子枠を定めて入試を実施している高校が今でも存在する。このような高校は、男子の合格ラインと女子の合格ラインが異なるが、それを不正と非難する声はほとんどない。大学においても、日本最古の薬科大学である東京薬科大学では女子部と男子部が分かれており、合格ラインは女子の方がかなり高い。同じキャンパスで過ごし、選択科目も同じ、4年次からの卒業研究も一緒に行うというのであるから、事実上、東京薬大男子部は男子の入試優遇として機能している。

2 私立学校の入試は厳正な公平さが求められるか?

 これも、答えはNOである。同じ入試でも、例えば私立小学校の入試などは親の職業、家柄、コネクション等々が問われるのは常識であり、それをいちいち目くじら立てる人はいない。特権階級だけが入学する(と誤解されている)私立小学校入試の世界と大学入試を同列に論じるな、という声も聞こえてきそうだが、私立医大入試の世界は私立小学校入試に比較してはるかに特権階級だけが参入する特殊な世界である。例えば、私立小学校入試のトップブランドである慶応幼稚舎の初年度納付金は150万円程度だが、東京医大の初年度納付金は740万円にのぼる。150万円の学費ならばビジネスマンが背伸びをすれば何とかなるが、750万円の学費を出せるビジネスマンはそうはいまい。

3 入試情報はすべて公開されるべきか?

 東京医大は私立大学だし、特権階級だけの世界だとしても、男女で合格ラインを操作するのであればそれを周知しておくべきだ、という批判はあり得るだろう。情報公開という名の正義は、現在、大きな力を持っており、私もその流れには基本的に賛同している。しかし、親の職業、家柄、コネクション等々がどのくらい合否に影響するかを情報公開している学校を私はただの一校も知らない。

 では、東京医大の男女差別入試は何の問題もないのだろうか。私は、そのようには考えていない。私立大学が、どのような入試をしようが勝手である(アメリカの名門大学など、子弟推薦枠という裏口が完備されている)。男女差別がけしからん、というのであれば「人種、信条、性別、社会的身分又は門地(憲法14条)」で差別している学校をまず取り締まるべきだ。

 しかし、慶応幼稚舎と東京医大には決定的な違いがある。慶応幼稚舎には税金が投入されていないが、東京医大には先の文科省官僚の汚職事件でも明らかになったように多額の税金が投入されている点だ。

 「私たちの税金を(一部)使って運営している学校が、入試情報を公開もしないで男女差別を行っていた」

 これこそが、この問題の本質である。
なぜ、TV新聞などの大衆メディアはそこを明確にしないのか。TV関係者や新聞関係者の子弟の多くが、公正とは言えない入試を実施する有名私立大学付属小学校に入学しているから、論点を明確にしてそこに「不正入試問題」を大学以外に波及させたくないからではないか、というのは私の勘ぐり過ぎだろうか。

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