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神戸市は体罰教員を免職にできるか

 相変わらず教員の不祥事が続いている。7月4日の産経新聞によれば、神戸市西区の市立中学で昨年4月以降、30代の男性教諭が、顧問を務める柔道部や担任のクラスで複数の男子生徒の頭をたたくなどの体罰を加えていた。しかも、同部の3人が精神的に不安定になり、現在不登校の状態という。

 神戸市が教育公務員に適用する「懲戒処分の指針」によれば、体罰が「悪質若しくは危険な暴力行為である場合又は常習的な場合」は「免職又は停職」が相当である。今回の場合、体罰対象者のうち3名が不登校に至っている点からして「悪質」かつ「常習的」であることは明白だ。平成28年度に学校現場から文部科学省に報告された体罰事件の件数は654件で、被害を受けた児童生徒の人数は1140人だから、1事件当たりの平均被害人数は2名である。その点で不登校になった者だけで3名という今回の事件は、異例なほど大がかりで堂々と行われていたと考えられる。

常識に従うならば「免職」以外の判断はないはず、なにせ教育界は常識の通用しないところだ。加害教員は、「部活や生活指導の中で体罰を行ってしまった」と主張しているようなので、「普段から指導に熱心で、熱心さのあまり体罰を行ってしまった」と認定され、停職3カ月の恩情処分となると可能性も否定できない。

 「いじめ認知件数」や「体罰件数」などの文部科学省の統計は、他の行政部門の統計と比較すると信用性に劣る。それは、責めを負うべき学校に報告させているからである。例えるならば傷害事件の件数を警察ではなく暴力団に報告させているようなものだ。それでも全国で654件もの体罰事件が起きているのだ。その中には骨折・捻挫8件、鼓膜損傷5件、外傷33件、打撲59件といった傷害事件に問われるべき案件が含まれている。

 では、この654件の体罰教員の中で免職になったのは何人いるかというと、埼玉県の教員1名だけである。懲戒処分は重大な人事案件なので決定権は教育委員会にあるが、役所の案件すべてがそうであるように、どの処分が妥当かという原案は役人が造る。そして、教員の処分原案は大抵の都道府県で教員身分を有する役人達が作成する。これも一般社会の傷害事件に例えるならば、暴力団員の刑事処分内容を暴力団幹部が決めるようなものである。

 学校現場が体罰をふるいたくなるほどストレスフルであることは承知している。また、体罰に慣れている子どもが少ない今だからこそ、その使用が一時的に効果を発することも容易に想像できる。しかし、同じ理屈が医療現場で、老人福祉の現場で、通用するだろうか。断じて否だ。暴力の被害者が成人ならば「虐待」の名で厳しく職員が非難され、学校現場で行われ被害者が児童生徒ならば「体罰」という名で恩情処分がくだされる。そんな理不尽を許してはならない。神戸市が常識に基づいて、大量体罰教員を免職にできる否かを注視したい。

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