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パレスチナ・ガザ地区出身の歌手、ムハンマド…

 パレスチナ・ガザ地区出身の歌手、ムハンマド・アッサーフさんの半生を描いた映画「歌声にのった少年」を、特定非営利活動法人中東平和フォーラム(阿部正寿会長)主催の映画鑑賞会で観(み)た(駐日パレスチナ常駐総代表部後援)。映画が持つ圧倒的な表現力に驚かされた。

 ムハンマド少年の夢は「スター歌手になって世界を変える」ことだが、姉を病で亡くし、戦禍のがれきの中で歌う気力を一時失ってしまう。しかし女友達に「この世は醜いが、あなたの声は美しい」と励まされ、海外で開かれる人気オーディション番組「アラブ・アイドル」に出場することを決意、ガザの壁を突破しようとする。

 映画は2005年、イスラエル軍が撤退した直後、開放的な雰囲気のガザで始まり、一転、12年にイスラエル軍の大規模な軍事攻撃で破壊され、閉塞感が漂う街の風景が映し出される。市中の劣悪な電力事情も影を落とす。

 この間、イスラム根本主義組織ハマスがガザを制圧、エジプトとの関係がやがて悪化し、エジプトに出ることがままならぬことに。目まぐるしく変化するガザを取り巻く政治環境を織り込み、のっぴきならない状況の中の人生模様を描いた。

 監督は「パラダイス・ナウ」などのハニ・アブ・アサド氏。観る者を引き込む手際の良さもさることながら、イスラエルに対する敵愾(てきがい)心を煽(あお)るのでなく、パレスチナの一体感、人々の昂揚(こうよう)感を描いて感動的だ。

 中東の今を知りたい人も必見。

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