ワシントン・タイムズ・ジャパン

愛知県・渥美半島から菜の花の便りが届いて…

 愛知県・渥美半島から菜の花の便りが届いている。それは不思議ではないのだが、東京で菜の花が咲いているのを見たという話を聞いた。

 知人が作っている家庭菜園の隣人の畑で開花したそうだ。季節外れのタンポポなどは時々見掛けるが、菜の花はあまりない。この時期に咲いたのは、世話をしている人の「愛情だね」と知人は言う。春の花はいろいろある。梅や桜などは別格だが、菜の花も捨て難い。

 どこか春の日差しを思わせる温かさが菜の花にはある。気流子が大学に通っていた頃のこと。総武線の飯田橋駅から市ケ谷駅にかけての対岸の土手に、3月から4月に菜の花の黄色い絨毯(じゅうたん)が広がっていた光景は忘れ難い。

 この辺りは桜も美しいが、桜はすぐに散ってしまうので、どうしてもはかなさを感じてしまう。それに対し、菜の花の開花時期は長く、見ているとポジティブな気分になる。

 黄色には心を弾ませる効果があるという。集中力を高めるほか、幸福感をもたらす。その半面、緊張感も与えるため、信号が黄色で注意を促すのは理に適(かな)っている。

 この菜の花を愛したのが、国民的な作家の司馬遼太郎。代表作の『竜馬がゆく』で、坂本龍馬をポジティブに描いているのも、菜の花好きの心理が働いたのかもしれない。高田屋嘉兵衛が主人公の『菜の花の沖』という長編もある。司馬が亡くなったのは、平成8(1996)年のきょう。忌日は「菜の花忌」と呼ばれている。

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