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「わかりやすさ」がテレビの命だ、とテレビ…

 「わかりやすさ」がテレビの命だ、とテレビディレクターの佐々木健一氏が文芸雑誌「群像」(11月号)で述べている。が、「わかりやすさ」は制約でもある、とも付け加える。伝えるべき内容が十分に伝わらないのだ。

 なぜわかりやすくなければならないのか。答えは明瞭。テレビの情報量が極端に少ないためだ。1時間番組の情報量は、活字ならば十数行あれば伝達できる。そこを芸能人たちのしゃべりや、特に必要もないような模型などを使って「これでもか」とばかりに頑張る。

 情報量が少ないのだから、肝心の内容は絞りに絞り込んで、結論だけを伝えなければならない。理由や背景を詮索する余裕は全くない。それがテレビの宿命的な負荷(マイナス)だ。

 テレビの逆が書籍だ、と佐々木氏は言う。書籍を読む側は「読もう」とする意志と「買う(図書館で借りる)」という行動と「読む」という労力(負荷)が必要だ。テレビのような「ながら」は通用しない。

 その代わり書籍は、難解なことを正確に伝えることができる。実際に生活していく中で、この世の中は、テレビが言うほど単純なものではないことは誰でもわかっている。その種の「やっかいさ」に取り組むことが書籍の身上だ。

 この世の相当部分は、テレビの「わかりやすさ」の範囲以外にも広がっている。速報性などテレビの特性はそれとして、その負荷について考えることも時には必要だ。

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