ワシントン・タイムズ・ジャパン

【上昇気流】紅葉といえば

 このところ、めっきり水が冷たくなった。顔や皿、茶碗(ちゃわん)などの食器を洗う時、水道管から流れる水の冷たさがきんきんと皮膚に伝わってくる。

 朝の時間、外気に触れると、眼鏡が鼻息などで曇ってしまう。秋になって、朝夕の冷え込みで、暖房をかけ部屋を暖めて休むことも多くなった。それでも、秋を象徴する紅葉の時期を迎えるまでには、しばらく時間が必要なようだ。

Photo by N Suma on Unsplash

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 関東地方では、紅葉の本格的なシーズンは11月中旬あたりになると予想されている。紅葉といえば、イチョウの並木が青空に映える姿は秋の美しい光景の一つである。イチョウは野山で見るのもいいが、それよりも都会の並木が印象的だ。

 ビルなどが並ぶ無機質な風景の中で、辺りを払うような黄色がくっきりと浮かび上がる。幻想的でいて、自然の生命力を生き生きと感じさせるものがある。都会でも自然が生きていることを実感する瞬間である。

 かつて、モミジやイチョウの葉を本のしおりにしていたことがある。本を読んでいる時はあまり意識しなかったが、読み終わってページに挟む時、このしおりが読後感を快くし、音楽の余韻のように感じられたものだった。

紅葉を詠んだ詩歌は少なくないが、気流子は、江戸時代後期の僧で、書と詩歌に通じた良寛の俳句が忘れられない。「うらをみせ おもてを見せて ちるもみじ」。辞世の句と言われているが、自然の摂理を短い言葉で表現していて見事である。

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