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少数民族を見下す中華思想の「華夷秩序」

ホータン地区ロプ県内の強制収容所=日本ウイグル協会提供

ホータン地区ロプ県内の強制収容所=日本ウイグル協会提供

 「中華文化が幹で各民族の文化は枝や葉だ」。中国の習近平国家主席が少数民族政策に関する会議で語った言葉である。ウイグル人へのジェノサイド(集団殺害)や、内モンゴルでの言語や文化の抹殺の背景にある民族観、文化観をはっきり示した。

 ヒトラーによるユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)の背景に、ゲルマン民族、アーリア人を「優等民族」とする人種主義があったことはよく知られている。習主席が中華文化の優位性を語ったことはある意味、ウイグル人へのジェノサイドを自ら認めたようなものだと言える。

 中華思想の「華夷秩序」の影響があるのは明らかだろう。自分たちを文明が進んだ中華とし、周りの民族を文化の遅れた東夷、西戎、南蛮、北狄と見下す。21世紀の今でも、かの国ではこういう考えが根強いことを思わせる。

 かつて司馬遼太郎は、中華思想は文化主義で人種主義でないところが一つの救いだということを言っていた。しかし、人種と文化は分かち難いものがあるのも事実だ。

 フランスの文化人類学者レヴィ=ストロースは、西洋人が「野蛮」とみなしていた「未開社会」にも一定の秩序・構造を見いだし、西洋中心主義的な文明観を批判した。以来、欧米では植民地主義への反省もあり、いわゆる未開文明や少数民族文化へのリスペクトが広まった。

 一方の中国は、マルクス主義という19世紀の思想にとどまるどころか、漢帝国の時代に戻っていたらしい。

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