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立花隆さん、素朴な好奇心で多方面にわたり活躍

 亡くなったジャーナリストで評論家の立花隆さんは「知の巨人」と呼ばれた。『日本共産党の研究』『宇宙からの帰還』『臨死体験』『天皇と東大』など、その著作名を挙げただけでも、政治、社会、生命科学、人文科学など多岐にわたる。ノーベル賞学者への取材などを通し、最先端の問題に真っ向から取り組んだ。

 月刊誌『文藝春秋』昭和49(1974)年11月号に発表された「田中角栄研究-その金脈と人脈」は、綿密な調査報道によって金権政治の裏側を暴き、当時の田中首相を退陣に追い込んだ。

 田中首相の金権体質について、大手新聞の政治部記者の中には、そんなことは永田町の常識とうそぶく者もいた。

 しかし『文藝春秋』編集長だった田中健五さんは、この特集が載った号の巻末の<編集だより>で書いている。「世上金権政治ということが言われるが、その実態をわれわれは果たしてよく知っているだろうか」。

 柳澤健氏が近著『2016年の週刊文春』(光文社)で、田中さんが編集者として優れているのは「子供のような、『なぜ?』という疑問を持ち、普通のインテリには恥ずかしくてできないような根本的な質問を、信頼できる専門家に率直にぶつけられたこと」と述べている。

 「『特集・田中角栄研究』は正義感からではなく好奇心から発した企画」と田中さんは書いている。立花さんもこの素朴な好奇心を共有し、その後の多方面にわたる仕事の原動力ともなった。

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