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アジサイは梅雨に気持ちを爽やかにしてくれる

 気象庁は関東甲信地方の梅雨入りを宣言した。新型コロナウイルス禍に鬱陶しい天気が加わるこの季節、気持ちを爽やかにしてくれるのが、道端のアジサイである。

 水色、紫、ピンクの微妙に色の違う花があり、中には白いものもある。さらに清楚(せいそ)なガクアジサイがあり、その色、形もさまざまで飽きない。

 半球型のいわゆるホンアジサイが主流で一般的だ。しかしこのホンアジサイ、日本原産のガクアジサイがヨーロッパに渡って品種改良されたものを逆輸入したのだという。

 アジサイには「紫陽花」の漢字が当てられる。実はこれが誤りであることを「日本植物学の父」と呼ばれる牧野富太郎が書いている。晩年の随筆集『植物一日一題』の中の「紫陽花とアジサイ、燕子花とカキツバタ」で、白楽天の詩の中の「紫陽花」を、平安時代の学者歌人、源順(みなもとのしたごう)が編纂(へんさん)した『和名類聚抄』でアジサイに当てたのが誤りの始まりと指摘している。

 牧野は「これはじつに馬鹿気た事実相違のことをかいたものだ」と厳しく批判。「元来アジサイは日本固有産のガクアジサイを親としてそれから出た花で断じて中国の植物ではないから、これが白楽天の詩にある道理がないではないか」と続ける。

 そのイメージがピッタリと合っていたこともあり、「紫陽花」の表記は平安時代から定着している。それでも牧野の文章を読むと、これまで脇役として見ていたガクアジサイに俄然(がぜん)、愛着が湧いてくるから面白い。

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