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岩と雪の交錯したダイナミックな剱岳の光景

 「おそらく剱岳の一番のみごとな景観は、仙人池あたりから望んだものであろう。眼前に、岩と雪の交錯したダイナミックな光景が迫ってくる」。深田久弥は『日本百名山』の中で、剱岳(富山県)について眺めるのに良い所まで紹介している。

 剱岳は北アルプスの北の峻峰。紅葉の季節に合わせ、この景色をNHKBSが「にっぽん百名山スペシャル」で紹介していた。出演者はクライマーで山岳カメラマンの中島健郎さんと石井邦彦さん。

 雪渓は少なかったが、鏡のような仙人池に剱岳の岩壁と紅葉した樹木が映って、深田の言葉が真実と実感された。2人がたどったコースは、黒部ダムから黒部川を下って阿曽原温泉で1泊。

 2日目にこの仙人池ヒュッテに。登山道は劔沢に下るが、3日目、一行はそこへは行かずに北方稜線(りょうせん)に向かった。目指すは剱岳だが、道のない岩場の連続で、登攀(とうはん)技術のあるクライマーだけに可能なルート。

 鞍部の三ノ窓に着いたのが午後2時。ここで露営だが、時間はあるとばかり2人は登攀用具を出してザイルを結び、チンネ左稜線を登って行った。口外しなかった目的の一つはこれだったのかと、知らされた。

 中島さんが語る。「学生時代、ヒマラヤに登るための訓練として、冬のチンネに登ったのです」。刃のように鋭い、すっきりした稜線で、彼らは伸び伸びと気持ち良く登攀する。頂に着くとドローンを飛ばして撮影した。深田の知らなかった絶景だ。

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