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地域に根差した伝統文化をしっかりと守りたい

 NHKの「新日本風土記」は、日本各地の歴史と風土、そして人々の今を伝える番組で、新しい発見も多い。奈良時代、国ごとに編纂(へんさん)された『風土記』のように、この番組も将来、貴重な民俗資料となるだろう。

 先週放送された「天草」でも、初めて知るものが多かった。その一つが、熊本県天草市牛深で江戸時代から伝わる「牛深ハイヤ節」。「佐渡おけさ」など全国40カ所以上に伝わるハイヤ系民謡のルーツという。

 毎年春にハイヤ祭りが行われるが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大で延期となった。それでも地元の高校生は練習を重ね、発表会に参加したことが番組で紹介されていた。若い人たちが伝統行事に一生懸命取り組む姿を見ると、なぜか心強い気持ちになる。

 「新日本風土記」を視(み)て思うのは、日本にはその地域の歴史と風土に根差した個性豊かな祭りや行事があることだ。一方、過疎化や少子高齢化で祭りの担い手が少なくなっている。

 政府は地方の祭りや郷土料理などを無形の「登録文化財」として保護対象に加える方向で検討を開始した。「重要無形文化財」のように公費の支援がされることになる。担い手不足が切実な中、一つの支えになるだろう。

 三島由紀夫は「文化防衛論」で、日本文化の国民的特色として「オリジナルとコピーの間の決定的な価値の落差が生じない」ことを挙げている。辺鄙(へんぴ)な山村や漁村にも息づいている伝統文化をしっかりと守っていきたい。

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