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素粒子理論では一流のわが国だがILC誘致は?

 今年のノーベル物理学賞は、ブラックホールに関する研究で業績を挙げた英オックスフォード大のロジャー・ペンローズ名誉教授ら3人に授与される。ブラックホールは高密度のエネルギーの塊で、周辺の空間をゆがめてしまう。

 日本では30年ほど前まで、理論上の研究対象とみてほぼノーマークだった。その後、今回の受賞につながった発見を機に一躍、宇宙の起源や構造の解明で主役級の天体に躍り出た。

 当節はペンローズ氏らによって、ブラックホールの中身が最新の素粒子理論で覗(のぞ)けるようになってきた。自分の尾をのみ込んで円環状になっている蛇を「ウロボロスの蛇」というが、宇宙の極大と極小、ブラックホールと素粒子の研究の密接な関わりを示すのに、この蛇の図がよく用いられるようになった。

 わが国は素粒子理論の研究では一流だが、実験分野では欧米先進国に比肩するに至らない。そこで今、次世代加速器「国際リニアコライダー(ILC)」の誘致が焦点となっている。

 宇宙創成直後を再現したり、ごく小さなブラックホールを造ったりすることができる。世界中から多くの研究者が訪れ、素粒子研究のメッカになると期待される。

 ところが、誘致に反対するのが日本学術会議。建設費が5000億円に上るため、他分野に予算が回らないというのが理由の一つだが、計画そのものを白紙にしろという勢いだ。体質的に核の研究に消極的な姿勢が見られて遺憾だ。

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