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世論と社論のズレが露わとなった朝日新聞だが

 自社の世論調査結果(9月4日付掲載)は朝日新聞にとって腰を抜かすほどの衝撃だったろうと小欄(同8日付)で書いた。病気で辞任した安倍晋三前首相の実績を「評価する」との回答が71%にも上ったからだ。「安倍ロス」が話題となるほど、前首相には存在感があった。

 それを宿敵の辞任社説は、安倍政治で「傷ついた民主主義」一本やりの批判を繰り出すと、その後もこのフレーズを繰り返した。調査結果は、それでも国民が冷静なバランス感覚と判断で同調しなかったことを示す。

 世論と社論とのズレが天下に露(あら)わとなって「傷ついた」のは朝日の方だった。そんな衝撃が垣間見られたのが「パブリックエディターから 新聞と読者のあいだで」(朝日同29日付)というコラムである。

 筆者は、読者の声をもとに編集部門に意見や要望を伝えるパブリックエディターの山之上玲子氏。山之上氏によると、調査結果に「『そんなに高いの?』と問い返す声を、社内で何度か聞きました」。

 さらに「一生懸命に記事を書いても、社会の一方にいる人たちだけに語りかけている気がしてくる。(中略)もどかしい」という政治部長の胸中や、現場でも反省はあり模索が続いていることを率直に伝えている。

 コラムは、政権支持の声と批判意見の「両者のものの見方を十分に咀嚼(そしゃく)できていたか。虚心坦懐(たんかい)に振り返る必要があります」と真摯(しんし)に受け止めるが、紙面に反映されるかどうかは別である。

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