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秋の七草の一つ、尾花は秋の到来を実感させる

 新型コロナウイルス禍による運動不足を少し解消しようと、近郊の川沿いで散歩をするようにしている。普段は電車を利用しており、高齢となって足腰が弱っているせいもあってか、ひと駅歩いただけでも結構息が上がる。

 途中、軽いジョギングをしている人や散歩中の老夫婦などにもよく出会う。川には鯉が泳いでいて時々跳ねる音がする。楽しみは、川沿いに植えられた草花を見ること。ヒガンバナや赤や黄色の名前も知らない花などが咲いていて目を楽しませてくれる。

 名前の分からないものが多いと、やや寂しい気がする。四季折々に咲く花に季節感を感じるが、春に咲く桜が一番印象的。秋が深まると、植物も紅葉をして枯れ木や枯れ葉が増えてくる。今はまだその手前で、朝晩に気温が下がると肌寒さを感じるが、なぜか物足りない気分がする。

 考えてみれば、地方に住んでいた時には、この季節になると、町の郊外や河原にはススキが一面に生え、つくづくと秋の到来を実感した。そのススキを東京で見掛けることが少ないので、季節感を感じないのかもしれない。

 春の七草に並ぶ秋の七草もある。萩(はぎ)、尾花(おばな)、葛(くず)の花、撫子(なでしこ)、女郎花(おみなえし)、藤袴(ふじばかま)、桔梗(ききょう)であるが、この中の尾花がススキのことである。

 「花が開くと穂先がふくらんで動物の尾のように見えるところから」(角川書店編『今はじめる人のための俳句歳時記』)。今ではどこでも見られるものではなくなっているのが残念だ。

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