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隕鉄に始まり人類史を書き換えてきた製鉄技術

 鉄鉱石や砂鉄を用いた製鉄技術は、人類の歴史を大きく書き換えた出来事だった。だが、その技術を知る以前から人類は鉄器を使用してきた。古代エジプトでも、周や殷の時代の中国でも、古代メソポタミアでも、しかり。

 彼らはそれを「天の金属」とか「天空からの火」と表現してきた。著書『科学が明かす古代文明の謎』(中央公論社)でこの金属、隕鉄(いんてつ)について記した理学博士の金子史朗さんに、インタビューしたことがあった。

 書斎で見せてくれたのは、ジャワ島で作られたというクリース剣。諸刃(もろは)で、刀身が曲がりくねり、実用ではなく、儀式用とのこと。刃の表面には隕鉄の特徴である木目のような模様があった。

 この夏、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館で、隕鉄で作られた刀剣が展示されている(小紙8月27日付「よみがえる隕石の刀」)。製作したのは刀鍛冶、26代藤原兼房さんで、長さ15㌢の片刃の短刀と17・3㌢の諸刃の剣。「天鉄刀」と名付けられた。

 硫化物などの不純物が混じっている上、日本刀と異なって、純度の高い鋼が使われていないために、硬度が低いという。藤原さんにとって扱うのは初めてで「温度を上げるとどうなるか分からなかった」という。

 現代では鉄鉱石だけでなく、レアメタルはじめ、さまざまな地下資源が利用されるようになった。隕鉄は人類史の始まりを飾る素材だが、将来を担うべく、出番を待っている資源もきっとあるだろう。

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