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甲子園高校野球交流試合が高校球児のため開催

 テレビから聞こえてくる「カキーン」という音が、いつもの夏を運んでくれた。新型コロナウイルスの感染拡大で春夏の大会が中止となった高校球児のため、甲子園高校野球交流試合が一昨日から開催されている。

 ボールが金属バットに当たる音が新鮮に感じられる。高校野球で金属バットが使用されるようになったのは、1974(昭和49)年春の地方大会から。45年の間にその音は日本人の耳に、早春あるいは盛夏の風物詩として定着した。

 日本人にとって、音は季節感と密接に結び付いている。夏は風鈴や蝉時雨(せみしぐれ)、ヒュー、ドン、パラパラパラ……という打ち上げ花火の音、シャリシャリという氷の塊を切る音。どれも涼を連想させる。

 箏曲の作曲家で演奏家の宮城道雄の随筆集『春の海』(岩波文庫)に「四季の趣」がある。それぞれの季節特有の趣ある音について語っているが、盲目であったため、感じ方が実に鋭い。

 「日暮らしの鳴き声は、私の観察では高さが二通りしかない。決まってそうである。つまり半音違いで鳴いているのである。日本の調子でいうと、一つはドの音(おん)であって、もう一つはシの音である」。耳元でうなる蚊の音も篳篥(ひちりき)のようで捨て難いという。

 昨日は関東地方の内陸部で40度を超す猛暑日となった。まだ、この暑さは続きそうだ。白球を打ち返す音、その白球を追い掛ける球児たちの懸命なプレーから元気をもらって、酷暑とコロナの夏を乗り切っていきたい。

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