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箱根登山鉄道が、約9カ月ぶりに運転を再開した

 昨年10月の台風19号で被災し、運休していた箱根登山鉄道が、約9カ月ぶりに運転を再開した。運休していたのは神奈川県箱根町の箱根湯本と強羅間約9㌔で、山の中を登っていく路線。

 豪雨と土砂崩れで陸橋の橋脚が崩れるなど、21カ所で損傷していたという。山中のため、修復にも平地以上の配慮が必要であっただろう。車窓の景色が美しいことで知られ、鉄道マニアには心を魅せられる路線だ。

 作家の北杜夫も、この鉄道を愛好した一人。強羅には祖父の建てた山荘があって、名作『楡家の人びと』(新潮社)の中で、湯本から登山電車に乗り換えて強羅に向かう場面が詳述される。

 「遥か下方に先ほど過ぎた鉄橋が玩具のように見え、谿間の底に白く渓流が泡立つのが見える。電車は幾つものトンネルをくぐる。いつも藍子たちは指を折ってその数を数え、いつも途中でその数が分からなくなってしまうのであった」。

 藍子は作者の姉がモデルで、昭和11年夏の出来事。作者の登山趣味はその山荘から始まった。近所の山中をわが物顔で遊び、強羅公園にも出掛ければ、ケーブルカーで早雲山の駅まで行き、そこから徒歩で大涌谷へ登った。

 現在では大涌谷までロープウエーが通じているが、大涌谷は昨年、火山活動活性化のため立ち入り禁止期間が長く、今年は新型コロナウイルス対策で立ち入りが規制された。現在は解除されているが、コロナの終息が見えず旅には十分な配慮が必要だ。

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