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スピード感がカギを握る「観光」、開始時期が怪しくなってきた

 講釈から書き出して恐縮であるが、「観光」の語源は中国の『易経』の一節「国の光を観る、もって王に賓たるに利し」に由来する。本来の意味は「国の威光を観察する」ことである。辞書では「他国・他郷の風光・景色を見物すること」とあり、一般には楽しみを目的とする旅行のこととされる。

 その観光が立ち往生している。新型コロナウイルス禍による各国の渡航禁止措置などで旅客の往来がほぼ途絶えたためで、どの国の観光産業も存亡の危機に立たされている。

 移動規制が解除されるかどうかはコロナ禍の収束状況によるから、他国を観る観光の復活は当面、望めない。取りあえずは各国それぞれが国内観光の需要を盛り立てていくほかなかろう。日本政府もテコ入れ策を打ち出した。

 約1・3兆円を計上して、国内旅行商品を購入した人に代金の半額(1人当たり最大で1泊2万円)を補助する「Go To トラベル」キャンペーン事業である。夏休みの観光シーズンに間に合わせ、まず国内の需要からV字回復を図ろうと目論(もくろ)む。

 実施のスピード感がカギを握るのに、事務委託費(3000億円規模)が高額だの、不要不急の事業ではないかなどの批判を国会で浴び、その開始時期が怪しくなってきた。

 そんな政府を尻目に、例えば石川県は県内宿泊を半額補助(上限1万5000円)する県民限定の観光の後押し。他の多くの地方自治体も、足元から同様の割引事業を始めている。

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