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「彼を知り己を知れば百戦殆(あや)う…

 「彼を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず」という。今「彼」を新型コロナウイルスに置き換えると、彼の実相はなかなか明らかにならず、知り尽くしたとは言えない。

 山中伸弥・京大iPS細胞研究所所長は、月刊誌「文藝春秋」6月号掲載の弁護士の橋下徹氏との対談の中で「新型コロナウイルスは季節性インフルエンザとは段違いの恐ろしさがある」「元気だった方が、二、三週間で急に亡くなるんです」と話している。一般の人の実感でもあろう。

 従って、他の専門家も指摘しているように、生活全般または人々の心理状況が新型コロナ禍前に戻るには、ワクチンや治療薬の開発とその完成が必要だというのは正しいと思う。それには1年以上かかると言われる。

 一方、新型コロナ発生以来の数カ月間で、自分たちなりに何となく処し方が分かってきたということだろうか。一昨日、緊急事態宣言が解除され、多くの人々がマスクを着用して街中に出掛けた。

 人と人との接触機会の8割削減、「3密」回避、マスクの使用、手洗い、うがいの励行などを実行し、感染者数が抑えられてきた。「己を知る」とまではいかないが、この成功体験を通して得られる知識が、個々人の行動に与える影響はずいぶん大きいことが分かる。

 成功体験による自信、経験知は、人類の進歩の原動力だとも言われる。だが、過信は禁物。経験知を積み重ねながら、第2、3波に備えていかなければならない。

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