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今年ノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏が…

 今年ノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏が公式会見で若手研究者を励ますメッセージを送ったが、政府は彼らを長期的に支援するため、経済対策で約500億円の基金新設を決めた。研究開発費や海外渡航費などを念頭に最長10年間、平均で年700万円を支援する。

 このうち海外渡航費は海外留学の補助ということにもなろう。文部科学省の2016年度予算では、日本人の海外留学支援が約68億円なのに、わが国の高等教育機関への外国人留学生受け入れ費用総額は3・5倍以上の約245億円もある。

 こんな偏った予算構成になったのは、政府が受け入れには熱心だが、日本の若者の海外留学による研鑽(けんさん)の重要性に思い至らなかったからではないか。

 もっとも、日本人の留学者数自体が年々減っている。ピークの04年の約8万3000人から11年の約5万8000人へと7年間で3割超も減少し、この傾向は続いている。

 以前、HUGO(ヒトゲノム国際機構)の責任者だった榊佳之氏に話を聞いた。「世界的なゲノムプロジェクトは国と国の活動としてあるが、実際の研究は個人と個人(海外研究者)の信頼関係で進む」と、海外に出掛け切磋琢磨(せっさたくま)してくることを勧めていた。

 今、大学や研究者への援助金漸増を国に求める声は強いが、それだけでは研究の質は高まらない。日本の自然科学系のノーベル賞受賞者の7割が海外留学で腕を磨いてきた。研究者よ、海外に出てみよう。

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