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台風19号がもたらした記録破りの大雨で、…

 台風19号がもたらした記録破りの大雨で、71河川の堤防で128カ所が決壊した。川が多く雨が多い日本は有史以来、営々と治水事業に努めてきた。

 戦国時代、大名は国力をつけるために堤防工事に取り組んだ。その代表は、甲斐の武田信玄。甲府盆地にしばしば洪水をもたらした釜無川に築いた信玄堤は有名だ。

 江戸時代も各藩藩主は治水に力を入れてきた。<春風や堤長うして家遠し>は蕪村の『春風馬提曲』の一句。河川工学が専門の高橋裕氏は、江戸時代の人々にとって堤は周辺の人々と一体になった文化的存在であることをこの句は示しているという。

 しかし今回の台風は、こんなのどかな気分を吹き飛ばした。地球温暖化による環境変化について「局面は変わった」と中央大の山田正教授は警鐘を鳴らす。治水事業の見直しが迫られている。

 オランダは国土の4分の1が海面下で「ネザーランド」という呼称は「低い土地」という意味だ。牧歌的な風車も侵入した海水をくみ出すために造られた。オランダの国づくりは海との絶えざる戦いだったが、それがオランダ人の勤勉な国民性を育んだことは、故岡崎久彦氏が『繁栄と衰退と―オランダ史に日本が見える』で縷々述べている。

 日本もこれから「豪雨との戦い」を続けていかなければならない情勢となってきた。しかし、これはわれわれの先祖が経験してきたことだ。それを思い返し、必ず勝つという強い決意で取り組むべきである。

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