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地球温暖化防止のために省エネ?

廣井3

 私が日本に出張して大学のトイレなどに行ってみて驚くのは、「地球温暖化防止のために電気はこまめに消しましょう」などという張り紙があったことだ。電気を消して省エネすることで地球温暖化が防止できると言いたいのだろうかと首をかしげてしまった。このように、しばらく前までは「地球温暖化(Global warming)」と呼んでいたものが、最近では「気候変動(Climate change)」と言い換えられている。それはおそらく、必ずしも温度が上昇していない場所も傾向として見られるからであろう。実際、近い将来極端な氷河期が来ると言っている人々もいる。
http://www.buildart.com/ice_free_earth_now.htm

 以前も話題にしたが、地球と大きな月のシステムによって、地球の自転軸は適度な23度付近の角度を保ったまま長期間にわたって安定しており、各緯度における気候は非常に安定している。このような惑星はもちろん我々の太陽系には他に存在しないし、他の恒星系においてもまだ見つかっていない。しかしながら、地軸の傾きも1~2度の変動があり、その向きも歳差運動をし、公転軌道の楕円の向きの変化と共に、地球が受ける太陽光は周期的変化をする。それはミランコビッチサイクルと呼ばれ、天文学的な最大の気候変動要素であると思われる。

 しかし、地球環境は他の様々な要素によっても影響を受け、それらのバランスで保たれている。例えば、太陽の温度や黒点の量などが変化すれば、太陽光の色温度と量が変わるので、地球が利用できるエネルギーが各波長帯で変化する。色温度が低くなれば、地球で発生するエントロピーを排出する効果が減少してしまい、光合成も影響を受けるだろう。またもちろん、黒点が多くなったり、地球が太陽から離れれば、受け取る太陽光エネルギーは減少する。

 その一方で、太陽から入ってくる光エネルギーをどれだけ地球が保つことができるかは、地球大気の反射率及び透過率、地表面の太陽光反射率と、地球の熱輻射による赤外線の大気による吸収率などによって決まる。氷河期になって氷が増えれば、地表は光を反射しやすくなって太陽光を吸収しにくくなり、また大気は水分が減って透明になり、太陽光を通しやすくなるので、熱を逃がしてしまう放射冷却も大きい。それ故に、一端氷が増え始めると正のフィードバックで加速的に氷河期になると考える学者もいる。

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NASAのAqua衛星がマイクロ波を使って捉えた2010年9月3日時点での北極海域の氷の分布(NASA)。

 2004年の映画「The Day After Tomorrow」では、地球温暖化によって氷が解けたために海水の塩分濃度が下がって凍りやすくなり(凝固点降下の効果の減少)、一挙に氷河が拡大して米国は住めなくなって、政府はメキシコに逃げるというようなシナリオになっている。それはちょっと極端だと思うが、そのように温暖化が氷河期を招くというような、一見矛盾するようなことも起こりうるという事である。

 また、「宇宙戦艦ヤマトIII」というTV版アニメでは、惑星破壊ミサイルが太陽に流れ弾として落ちてしまい、核融合の増殖が起こって地球の温度が上がってしまうという設定になっており、映画「The Core」では、「Destiny」という兵器の試験使用によって地球の外核で回転している鉄の陽イオンの流れ(ダイナモ)が止まってしまい、それによって地球の磁場が消えて、地表に電磁波や太陽風が直射してしまうという惨事が描かれている。

 このような人為的な行為はまず普通あり得ないが、地球温暖化に対して人間活動が有意に影響していると信じている科学者たちは同じような危機的未来を説いて回っている。彼らでさえも、地球温暖化の原因は多くあり、人間の活動はその一部に過ぎないと認めているのに、一部マスコミや学校教育で、「地球温暖化防止のために……」という文句で省エネや自然環境保全を提唱するのは教育としては間違っている。

 化石燃料を燃やさないようにするのは二酸化炭素による温室効果を防ぐのが主目的というより、一酸化炭素を含むより有害なガスや塵などによる地球の汚染を防ぎ、きれいな地球環境を維持することと、有限かもしれないエネルギー源に頼ることの危険を強調すべきだ。さらに言えば、電気はいろんな方法で起こすことができるし、地球温暖化どうこうを言うならば、原子力発電を推奨すべきである。原子炉が安全で、放射性廃棄物の閉じ込めさえすれば、水蒸気しか出さないとてもきれいで安定したエネルギー源だからである。

 そしてもちろん、科学者が政治に利用されている向きは多くある。アメリカでは原子力と共に自前の化石燃料を使えば中東からの石油に依存しなくて済むのと、軍事力の維持のためには化学燃料や核を放棄できないので、地球環境を無視して進んでいる中国などと対抗するためにはそこは譲れない。科学者は真理に立脚しながらも、売国奴的に国の保安を犠牲にする方針を進めるわけにはいかない。科学者を含む国民の安全あってこその科学活動だからだ。

 省エネとか再生可能自然エネルギーの活用とかは、地球の温度を保つというより、それを含む地球環境の自然な変化に対して不自然な人為的害を与えないことの方が主目的であろう。科学者が皆合意しているように、温室効果ガスを人間が出すのをやめたところで地球の温度が有意に下がらないのであるなら、温暖化した時にどうすべきかを考えればよいのである。海水面が上昇しても、気温が上がれば、高地や高緯度の土地が利用できるようになる。広大なシベリア大陸が温帯になれば、そこは農業を含む人間活動の福地となろう。

 そうなった時の問題は、The Coreの映画で米国政府も国外に退避する必要があったように、ロシアを含む温暖化の恩恵を受けた国が他の窮地に陥った国からの移住などを認めるかどうかである。そしていつか氷河期が来るのであるから、北に南に自由に行き来できる必要がある。それまでに、世界が協調性のある、できれば国境がなくなった理想世界になっている必要があるだろう。

(2017年5月23日記)

 凝固点降下 水などの液体に他の物質が溶解するとそれが凍る温度(凝固点)が下がること。それ故に、塩を含む海水は淡水よりも凍りにくい。

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