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    古川 光輝
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    細川 珠生
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    井上 政典
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    伊勢 雅臣
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    宮本 惇夫
    宮本 惇夫
    企業・経営
    中村 仁
    中村 仁
    元全国紙経済記者
    石平
    石平
    評論家

    ローマ教皇が新型肺炎に感染?

     ローマ・カトリック教会の総本山、バチカン法王庁では「Xデー」について囁かれ出した。次期教皇の選出会(コンクラーベ)の開催の日だ。その日が案外近いのではないか、といった予感だ。ということは、その前提として、フランシスコ教皇の生前退位の日か、教皇の突然の死去が近いのではないか、といった予測だ。火のない所に煙は立たない。以下、説明する。

    800

    前回のコンクラーベが開催されたシスティーナ礼拝堂(2013年3月12日、オーストリア国営放送の中継から撮影)

     83歳の高齢のフランシスコ教皇は28日、毎朝行っているサンタ・マルタ館での朝拝以外は同日の全日程をキャンセルした。その理由について、バチカンのマテオ・ブルーニ広報担当官は「ローマ教皇の健康上の事情」と説明するだけで、いつものように詳細なことは語らなかった。

     フランシスコ教皇は26日の一般謁見でも身体の不調を訴えていた。27日のローマ教区の聖職者との会合を「気分がすぐれない」という理由でキャンセルしているから、教皇の健康状態は26日頃から良くなかったわけだ。バチカン・ニュースは「教皇は軽い風邪だ」と報じている。ただし、3月1日午後にはローマ教区の5日間の断食行事に参加するために、アリチャーに一緒に行くという。

     時期が時期だけに、フランシスコ教皇の健康が良くないというニュースが流れると、「フランシスコ教皇は新型コロナウイルスに感染したのではないか」という推測の声が聞かれた。欧州で中国武漢発の新型コロナウイルスが拡大し、特に、バチカン法王庁があるイタリアでは短期間で300人以上の感染者が見つかり、死者も多く出ている。多くの信者たちが集まる集会や礼拝で教皇が新型コロナウイルスに感染する危険性がある。

     中国のビッグデータによれば、80歳以上の感染者の致死率は14・8%とダントツだ。高齢者は持病持ちが多い。南米出身のフランシスコ教皇はその最も致死率が高い年齢層のカテゴリーに入る。皮肉なことだが、生前退位したドイツ人のべネディクト16世が依然健康である一方、その後継者のフランシスコ教皇がべネディクト16世より早く亡くなる、といった事態が考えられるわけだ(「データが示す新型肺炎患者の特徴」2020年2月22日参考)。

     フランシスコ教皇は2013年、べネディクト16世の突然の生前退位を受け、第266代の教皇に就任して今年3月で7年目を迎える。聖職者の未成年者への性的虐待問題に対峙し、対応に苦慮してきたフランシスコ教皇の日々はストレスが多い。一方、教会内では聖職者の独身制廃止を求める声と、その維持を主張するグループ間の激しい主導権争いがバチカン内で激化してきた。そのような環境下で、中国武漢発の感染力の強い新型コロナウイルスに襲撃されれば、フランシスコ教皇は果たして耐えられるだろうか。

     参考までに、コンクラーベ(Conclave)の開催について少し紹介する。

     コンクラーベで選挙権のある聖職者は80歳未満の枢機卿だ。人数は2月現在、123人だ。投票権のない枢機卿は100人だ(ローマ・カトリック教会には枢機卿の称号を有する聖職者数は223人)。

     フランシスコ教皇は就任以来(2013年)、6回の枢機卿会議を開催し、新しい枢機卿を任命してきた 。枢機卿会議の回数はべネディクト16世より1回多いが、27年間余りの長期政権を誇ったヨハネ・パウロ2世よりは3回少ない。

     現223人の枢機卿のうち、69人はヨハネ・パウロ2世時代に任命され、べネディクト16世から任命された枢機卿は70人。フランシスコ教皇が任命した枢機卿の数は84人だ。

     地域別にみると、欧州教会は42人のイタリア教会を筆頭に104人の枢機卿を有する最大派閥だ。次いで、アフリカ教会29人、アジア教会26人、南米教会25人、北米教会24人の順だ。コンクラーベで選挙権を有する枢機卿数では、欧州52人、アフリカ17人、北米16人、アジア14人、南米13人だ。

     コンクラーべは使徒宮殿内のシスティーナ礼拝堂で開催される。そして当選に必要な3分の2を獲得した枢機卿が選出される。べネディクト16世の場合、4回目の投票で決まった。フランシスコ教皇は1回多い5回目で選出された。

     ちなみに、2013年のコンクラーベで現フランシスコ教皇(当時ブエノスアイレス大司教のホルへ・マリオ・ベルゴリオ枢機卿)はコンクラーベ開催前の準備会議で教会の現状を厳しく批判し、「教会は病気だ」と檄を飛ばした。その発言は多くの枢機卿の心を捉え、南米教会初の教皇誕生を生み出す原動力となったといわれている(「南米教会から初の法王誕生」2013年3月14日参考)。

     あれから7年の年月が過ぎようとしている。世界のカトリック教会は「病」から回復しただろうか。「教会の病」を治療するためにバチカン入りしたフランシスコ教皇は今、中国武漢発の新型コロナウイルス感染の危機に直面している。

    (ウィーン在住)

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