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    古川 光輝
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    井上 政典
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    伊勢 雅臣
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    宮本 惇夫
    企業・経営
    中村 仁
    中村 仁
    元全国紙経済記者
    石平
    石平
    評論家

    ウクライナ航空機墜落の真相

     イランのテヘラン空港から8日、ウクライナのキエフに向かって飛び立ったウクライナ国際航空ボーイング737型旅客機が離陸直後、墜落し、搭乗員、乗客176人全員が死亡した事故で、イラン軍の地対空ミサイルが誤射した結果という声が高まってきた。

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    ウクライナ国際航空機墜落事故について説明するイラン政府のアリ・ラビエル報道官(2020年1月10日、IRNA通信)

     その理由は、墜落直後、①イラン当局は「航空機の技術的欠陥」が墜落理由と発表したが、航空機墜落事故の場合、その原因解明には本来、時間がかかるところ、イラン当局は焦るように事故原因を公表。そのうえ、事故現場からブラックボックスを発見し回収していった、②現地の目撃者の話では航空機が墜落前に機体が燃えるのが見えた、③米国の人工衛星の写真はイラン側のミサイル発射をキャッチしていた、④米国側は事故直後のイラン当局者間の会話を傍受した、ことなどが挙げられている。

     犠牲者176人のうち、イラン人(82人)に次いで多かったカナダ(63人)やウクライナの両国政府はイラン政府に事故調査の協力を要請している。イラン側はこれまで地対空ミサイルの「誤射説」については「考えられない」という立場を崩していない。

     カナダのトルドー首相は、「これまで入手した情報によると、イラン軍の地対空ミサイルの誤射が考えられる」と述べている。トランプ米大統領も8日の記者会見ではウクライナ航空墜落の原因がイラン側の誤射による可能性を示唆している。

     以上、ウクライナ航空墜落事故に関するこれまでの情報をまとめてみた。イラン当局側に「説明責任」があることは明らかだ。墜落現場周辺にミサイルの破片などが見つかれば明らかになる。イラン当局はカナダ、ウクライナなど関係国と連携して現場調査に応じるべきだ。時間が経過すればそれだけ調査が難しくなる。

     墜落事故はイラン側がイラク国内の米軍基地に弾道ミサイルを発射した直後だった。ということは、イラン軍の防空体制はオン状態にあったと考えて間違いないだろう。そこに民間機が上空を飛行し、その航空機の電波や信号を防空ミサイルがキャッチし、自動的にターゲットに向かって発射された、と考えられるわけだ。

     イラン軍の地対空ミサイルがウクライナ国際航空機を墜落させたことが明らかになれば、犠牲者が多かったウクライナやカナダ両国政府から責任を追及されるが、イラン当局が最も警戒しているのはイラン国内からの批判だろう。墜落事故で犠牲者数が最も多かったからだ。

     イラン革命防衛隊「コッズ部隊」のカセム・ソレイマニ司令官暗殺でイラン国民は反米で結束してきた。その直後、イラン側の防空システムのミスで国民の多くが犠牲となったのだ。対米紛争を煽ってきたハメネイ師への批判の声が出てくるかもしれない。

     米国側にも事情があるだろう。トランプ政権は人工衛星や傍受情報からイラン側の誤射の可能性が高いと早い段階で分かっていたはずだ。その気になれば、イラン側へ圧力を行使できるチャンスだったが、米国側は冷静を装い、情報の一部をメディアにリークするだけで、直接批判は避けている。イランの防空システムのミスとはいえ、米国との紛争が事故を誘発させたこと、具体的には、ソレイマニ司令官の暗殺が米イラン間の直接の衝突の主因となったとして、ウクライナの旅客機墜落事故の責任は米国にもある、といった批判の声が出てくるかもしれないからだ。

     2014年7月17日、オランダのアムステルダムのスキポール空港からマレーシアのクアラルンプールに向かったマレーシア航空17便がウクライナ東部上空で撃墜され、搭乗員全員298人が犠牲となった。その時、ウクライナ東部の親露武装勢力がロシアから提供された地対空ミサイル「ブーク」を発射して撃墜したことが明らかになった。

     事故を調査したオランダ安全委員会は2015年10月、最終調査報告を公表したが、その中で「事故はロシア製の地対空ミサイル『ブーク』によって撃墜された」と結論を下したが、ロシアのプーチン大統領はこれまで全ての批判を一蹴している。

     参考までに、イランの民間機墜落事故とマレーシア航空の墜落事故の共通点は、①ロシア製地対空ミサイルが使われたこと、②両事故ともウクライナが関わっていることだ。

    (ウィーン在住)

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