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    細川 珠生
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    井上 政典
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    伊勢 雅臣
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    河添 恵子
    河添 恵子
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    宮本 惇夫
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    中村 仁
    中村 仁
    元全国紙経済記者
    石平
    石平
    評論家

    中国の監視社会と「社会信用スコア」

     海外中国メディア「大紀元」日本語版(3月6日)に非常に興味深い記事が掲載されていた。「中国昨年2000万人超、飛行機など利用禁止、社会信用スコアで」という見出しの記事だ。記事は、ペンス米副大統領が昨年10月、中国の「社会信用スコア」システムについて、「ジョージ・オーウェルの描いた超監視社会のようで、人々の生活を含むあらゆる面をコントロールしようとしている」と非難した内容だ。同記事は独メディア・ドイチェベレ中国語電子版今月4日で、「中国社会信用情報センターの記録では、中国当局は2018年、違法案件の当事者1750万人に対して国内外への旅行を制限し、航空券の購入を禁止した。また、他の550万人に対して高速鉄道や列車の利用を禁じた」というものだ。

    200

    ジョージ・オーウェルの小説「1984年」(ウィキぺディアから)

     大紀元によれば、中国共産党政権は2014年、「社会信用システム構築の計画概要(2014~2020年)」を発表した。それによれば、国民の個人情報をデータベース化し、国民の信用ランクを作成、中国共産党政権を批判した言動の有無、反体制デモの参加有無、違法行為の有無などをスコア化し、一定のスコアが溜まると「危険分子」「反体制分子」としてブラックリストに計上し、リストに掲載された国民は「社会信用スコア」の低い二等国民とみなされ、社会的優遇や保護を失うことになる、というわけだ。

     この記事を読んで、ペンス副大統領ではないが、共産党政権下で監視社会の出現を予言した英国の作家オーウェルの小説「1984年」を思い出した。中国では顔認証システムが搭載された監視カメラが既に機能しているから、「社会信用スコア」の低い危険人物がどこにいてもその所在は直ぐに判明する。

     ところで、中国共産党政権を擁護する考えはさらさらないが、ペンス副大統領は中国共産党政権下の中国社会を超監視社会と「超」という言葉を付けているように、欧米社会も程度の差こそあれ、監視社会があることを間接的に認めているともいえる。換言すれば、欧米型「社会信用スコア」システムだ。

     欧米社会では個人情報の保護が叫ばれ、個人情報の悪用は罰せられるが、その一方、情報が他の情報とリンクされ、欧米型「社会信用スコア」システムが機能している。例えば、国連記者の中には開発途上国出身のジャーナリストが結構多い。彼らはマスターカードやVISAカードといったクレジットカードを作れないと聞いたことがある。旅行する場合、通常、支払いはクレジットカード払いが多いが、彼らはクレジットカードがないから現金払いとなる。そうなれば、中国の「社会信用スコア」ではないが、信用度が低い顧客としてクレジット所有者が享受する特権は期待できず、航空チケットは高くなる。

     銀行側の説明では、「定期的に月1500ユーロ以上の所得がない場合、クレジットカードを申請できない」というのだ。銀行側は顧客の所得水準を知っているから、判断に揺れがない。「残念ですが、あなたにはクレジットカードを提供できません」とやんわりと断る。一方、「アメリカン・エクスプレス」のゴールド・カードを所有している顧客はホテルの予約や航空チケット購入まで最大限のサービスを受けることができる。欧米社会の「社会信用スコア」は豊かな者がさらに豊かになり、貧しい者が一層貧しくなる「経済信用スコア」システムとして機能しているわけだ。

     もちろん、中国の「社会信用スコア」と欧米の「経済信用スコア」は異なる。後者は社会的ステイタスの役割も果たす一方、前者は中国共産党政権に対する政治的指向や言動がスコアとなるから、監視体制の手段となるわけだ。

     現代はビックデータの時代だ。個人情報から国家情報まで膨大な情報が行き来する時代だ。そのビックデータを迅速に解析することで、新しい巨視的な観点が生まれてくる。同時に、中国の「社会信用スコア」システムといった国民監視体制が生まれてくる一方、欧米社会では「ワイルド資本主義体制」を支える「経済信用スコア」が出現する、といった具合だ。

    (ウィーン在住)

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