ワシントン・タイムズ・ジャパン

ブラジル人を誤解させた日本女性の“愛想笑い”

 ネット上で物議をかもしているニュースがあります。昨年6月、電車内で隣の席に座った女性に、無理やり複数回キスをして下半身を触らせたとして、ブラジル人男性が強制わいせつ罪に問われた事件です。今月の5日に名古屋地裁が判決を出したのですが、「無罪」という結果に。これにネット上では疑問の声が多々上がっています。果たしてこの判決は本当に正しかったのでしょうか。

わいせつ行為も外国人だから無罪

 名古屋市中区に住むブラジル人男性(44)は、昨年の6月26日夜、名鉄線の知多半田駅(愛知県半田市)から金山駅(名古屋市熱田区)までを走行中の電車内で、面識のない初対面の女性(23)の隣に座って話しかけました。男性は自分の名前を名乗り、女性に名前や仕事先などを尋ね、女性も名前と仕事先の概略などについて答えました。そして、携帯電話の番号を交換。さらに男性は「飲みに行こう」と誘い、女性に複数回キスをし、女性の右手を掴んで自分の下半身を衣服の上から触らせたのです。

 このことがあってから半年以上経った今年3月に男性は逮捕され、4月に起訴。裁判では「同意があった」と主張している上で、女性に対して行ったことは認めていました。

 名古屋地裁の田辺三保子裁判官は、「自分の行為が相手に受け入れられていると誤解しており、強制わいせつの故意はなかった」として無罪という判決を下しました。判決理由で田辺裁判官は、「すぐ近くには他の乗客もおり、被告は女性に自分の名前も名乗っていた」としています。また、女性が内心では嫌がって消極的な拒絶をしていたと認めながらも明確ではなかったとして、「特に被告は外国人であり、拒絶の態度を理解できず、女性がただはにかんでいると受け止めた。(被告に)好意があると受け止めた可能性は否定できない」と判断。さらに、女性が車内の他の乗客に助けを求めたり、逃げ出してりしなかった点も挙げつつ、「隙を見て体を触る痴漢などの行為とは違い、被告は女性の同意があったと考えていたと認められる」と結論づけました。

納得できない疑問の多い判決

 このニュースを知って思ったことは、疑問点が多いということでした。まず、なぜ男性はすぐ逮捕されず、9カ月も経ってから逮捕されたのでしょうか。女性は痴漢行為なのかどうか曖昧だったため、すぐには訴えられなかったのか、訴えられないほど心の傷が深かったのか、連絡先は交換していたし、自分も誤解させるようなところがあったのを自覚しており、誰かに相談した上で訴えることにしたのか…。細かい情報がないため憶測の域を出ませんが、とにかく女性が訴えるまでの間に長い期間がかかっている点が1つ目の疑問です。

 そして次の疑問が、ブラジル人男性が女性の消極的な拒絶に本当に気づかなかったのかという点です。男性は女性を口説けるほど日本語を理解し、日本になじんでいたのではと考えられるのに、日本人特有の曖昧な受け答えや、建前が全く理解できていなかったとは考えにくいのではないかと思うのです。

 実際、記事だけでは男性がどれほどの期間、日本に住んで、どのような仕事をしているのかなど、プライベートなことは一切情報がないので分かりませんが、44歳で日本に来たばかりで、日本人のことが分からない状態で、若い女性に手を出そうとすることはお国柄の違い以前に、「いい年齢の大人」として考えにくいことではないでしょうか。そのような点を裁判官は考慮せず、女性の建前のはにかみが笑みに見えて、自分に好意があると思ったと認められると判決を下したということに、判断が浅いのではと思わざるを得ません。

 この点も詳しい情報がないので、実際女性が少しでも好意を示して、良い出会いと思っていた節があったのかもしれません。女性としても受け入れざるを得ない状況というよりは、一度受け入れてしまったからにはキスや下半身を触らされることに同意していなくても、同意した振りをしないと相手に悪いと考えて拒絶をしたり、誰かに助けを求めたりしなかったのかもしれません。

 かもしれない、と予測するしかありませんが、女性がいくら消極的にしか拒絶をみせていなかったとしても、どちらかが同意があったと認めていなければ、いくら日本人の拒絶の仕方を理解できない外国人であっても、無罪判決になるのは納得できません。この判決は、被告がブラジル人男性でなく、日本人男性であれば有罪、あるいは減刑だったかもしれないと捉えることができます。公平に判決を下すために、ブラジル人男性が日本人の拒絶が理解できないことを理解して無罪としたのでしょうが、外国人だからといって、その国のルールや道徳、倫理に従うべきだと判決を下す国は多くあります。

 例えばUAE(アラブ首長国連邦)では、路上や店内など人がいる場所でキスやハグをしてはいけない、同性同士ではなおさらご法度とされており、服役及び強制退去が命じられることがあります。また、ドバイやインドでも、公共の場でキスをしていると逮捕されて禁固刑になってしまうことがあります。これは宗教が理由でもあるため、外国人だからといって容認はされません。

 日本ではそのような風習や決まり事がないため、今回のような事件では無罪判決が下されたのでしょうが、私は日本のルールで罰してもいいと思いますが、今回の件ではブラジル人男性寄りの判決ではないかと指摘したいです。外国人との間でトラブルが起きた時、日本人と同じ感覚で外国人をルール違反だと考えるのか、外国人であることを考慮して日本人が泣き寝入りするしかないのか。東京オリンピックでは多くの外国人が来日しますが、外国人とのトラブルも課題になってきそうです。

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