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教育ローンか? 別荘ローンか?

 人がローンを組む時とは、どんな時だろう。

 まず、ほとんどの人がキャッシュではなくローンで購入するのが、マイホームだろう。家は人生最大の買い物だし、そもそもキャッシュで買える人はそれほど多くないから、これは当然だ。

 次にローンを組むとしたら、子供の進学、自動車、別荘といったところだろうが、この中であえて健全性に順位をつけるとすれば、進学、自動車、別荘の順になると思う。なぜなら、子供の進学費用は巨額だが、その経費をケチることで子供の一生が左右されるからである。これに対して自動車は都会ならば無くても生活は可能だし、田舎でも買い替えならば、修理を重ねて購入を遅らせるという手もある。別荘となれば、完全に贅沢品だからローンを組んでまで買う必要はあるまい。

 つまり、日々のやりくりのためにカードローンを組むとなると、相当に財政的にひっ迫しているので家計を見直した方が良いが、同じ消費のためのローンでも、先に見たように教育ローンは別と考えるのが今や常識である。
 ところが、政治の世界では、この常識が通用しない。

 財政法第4条は一般に国債で財政を賄う事を禁じるが、但し書きで「但し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる。」と規定し、公共事業の経費だけは建設国債という名目で国債発行を認めているのだ(それ以外は赤字国債となり、特別法に拠らなければならない)。これにより、不要不急の事業でもハコモノや橋や道路を造るためならば容易に国債発行が可能だが、喫緊の課題である教育のための予算はなかなか取ることができない。

 この事情に精通している財務省出身の玉木雄一郎は、民進党の党首選挙において「こども国債」という画期的なアイデアを出したが、良い政策も出所が悪いと通らないのが、政治の世界である。

 もし、現民進党が本気でこの政策を行いたいのであれば、「人からコンクリートへ」と主張した民主党政権時代に財政法改正案を出せば良かったのだ。ところが、官公労と財務省くらいしか味方のいない民主党は財政法に触れないどころか、消費税の増税にまい進したのである。玉木氏の「こども国債」もしょせんは一時の人気とりで、党首選挙が終わればどこからも聞こえてこなくなった。

 そんなところに出てきたのが、安倍政権による給付金奨学金制度の導入だ。私は、これ制度自体は賛成だが、その経費を全額税金で賄うのは理屈が通らないのではないかと思っている。高等教育への支出は、国家として人材に投資する訳だから、将来世代が負担したとしても問題のないお金だ。但し、それには、あくまで「投資」に値するものでなければ意味ない。だとすれば、大学教育の質も当然問われるべきである。中学英語さえ怪しい学生に毎年数十万円給付しても、それを「投資」とは言うまい。

 福祉政策も教育政策も一緒にした民進党のバラマキ政策ではなく、しっかりと質を問うた上での人材投資。安倍政権ならば、それが可能ではないかと密かに期待している。

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