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世界中が追っている男 IS指導者バグダティはどこにいるのか!?

 ISの指導者バグダディ容疑者は一体どこにいるのだろうか。国際社会全体がその動向を追っているが一向にその実態が掴めていない。ISは世界中の非イスラム国家を相手に国際テロを企てる脅威的存在だが、そのトップに君臨するバグダディはあまり姿を見せず、人物像が浮かび上がってこない。しかし指導者の言動ひとつでテロ集団はその動向に変化が見えるので、バグダディの行方は国際社会における共通の課題である。

バグダディの人物像

 本名はアブー・バクル・アル・バグダディ。イラク生まれ で、イラク大学在籍中はイスラム学の学士・修士および博士号を取得している。ちなみにアルカイダのザワヒリ氏はカイロ大学の医学部出身であったり、リクルートされる戦闘員も高学歴であることが以前から注目されていて、高学歴であることが過激思想に結びつくとは言えないが、欧米に対抗していくために知識の豊富な人材を確保しようとしており、一見まともな手法で組織を拡大し、広いネットワークを構築していくのが狙いなのではないかと考察されている。

 バクダディ氏は元バアス党員である。

 バアス党とはアラブ社会主義復興党のことで、かつて世界をリードしていたアラブの栄光を取り戻すことが目的の政党である。ただし近代化を目指していたことからイスラム原理主義とは一線を画していたのが特徴だ。その後テロ計画組織の一員だとして拘束され、収容所の中で過激思想に染まったとされる。日本の刑務所では暴力団関係者がリクルート活動をしていると噂されるが、アメリカや中東の刑務所はテロ組織の勧誘と思想の普及がさかんなようである。

 テロリストの一員として頭角を現したバグダディは、現在のISの全身であるISILで諮問評議会の一員になり、アルカイダの指導者ビンラディン氏との連絡役を任せられる。2011年のパキスタンで実行された米特殊部隊によるビンラディン殺害以降は、数々のテロ攻撃を実行犯として遂行した。

 ISの指導者となったバグダディは、ご存知のようにシリアやイラクを中心にカリフ制国家の樹立を目指し、暴力を持ってその目的を果たそうとしている。シリアのラッカを中心にアレッポやモスルを制圧し、一時的にその勢力図はシリア全土に広がるのではないかと憂慮された。イラク国内でも直属の戦闘員がテロを起こすなど、バグダディが築いたISのネットワークが強力であることを証明している。

死んだのか?生きているのか?

 バグダディの行方は世界中が注目する関心事であるが、その情報はなかなか一般市民には公表されない。各国情報機関、特に米国などでは最優先課題でありトップシークレットなので我々が生の情報を仕入れることは不可能だ。マクガーク米大統領特使が「バグダディ容疑者が今も生存していることを否定する根拠はないが、昨年末以降は音沙汰がない」と言及する以外に、米政府から特段の情報は公開されない。

 2014年11月に米軍主導の有志連合がイラク北部のモスル近くで、ISの幹部を狙った空爆を実施し、この空爆でバグダディが死亡したという情報も飛び交ったが、これも信憑性が低い。この空爆後にバグダディの音声が流出したこともあって、負傷した程度で殺害には至っていない。

 また、有志連合の攻撃から逃れるために潜伏先を転々としているとの新たな説も浮上している。バグダディはこれまで、ISが「首都」と称するシリア北部ラッカに潜伏しているとみられていた。米当局者によると、最近の分析では同容疑者が絶えず居場所を変えている可能性を指摘している。

 ではバグダディは一体どこにいるのだろうか?

一時はシリア・モスルに潜伏していたのは確実だった。モスルを訪れていたとする信頼性の高い情報もあり、かつて制圧したモスルでビデオを公開したこともある。しかし、現在モスルでイラク軍による奪還作戦が実施されており、すでにモスルにはいないだろう。

 最近の推測では、米軍が民間人の犠牲を恐れて空爆に踏み切れないだろうとの考えから、ラッカ中心部の人口密集地域が有力と見られている。これは非常に重要なヒントである。なぜかというと、有志連合でラッカ制圧の作戦が企てられているからだ。カーター米国防長官は10月27日に記者会見で、「われわれは数週間程度で派遣部隊を編成する。ラッカを孤立させるために部隊を編成し、配置する」と決意を述べている。

 モスルの次はラッカというシナリオはこれまで何度も指摘されていたが、現実となるだろうか。しかしながらバグダディがラッカに潜伏する保証はなく、むしろ攻撃準備段階であることを公表するのは、バグダディがすでにいないことを証明するのかも知れない。

殺害がIS弱体化につながるか

 現時点で情報を整理すれば、バグダディの正確な所在は分からないという点と、バグダディが居場所を隠すために厳戒態勢を敷いていることは間違いない。潜伏していると思われたモスルとラッカはすでに攻撃対象として公表されているので可能性は低い。最近は声明も発表していないので、まさに生存の可能性すら疑わしいと言える。

 しかしバグダディと近い人物だったシシャニ容疑者が米軍によるシリア北東部の空爆での負傷がもとで死亡したことから、やはり国際社会は重要人物を消すことを最重要に置いていることがわかる。バグダディの行方を常に追っているのは確実であり、ラッカ作戦後に新たな情報が入ることに期待したい。

 特筆すべき懸念はバグダディが殺害されてもISは果たして弱体化するのかどうかである。現時点でその生死が定かではない中でもISはテロを繰り返している。世界中にISのシンパが存在する以上、バグダディが居なくても組織は成り立つのではないか。そう考えればバグダディの生死は問題にならないと指摘を受けるかも知れないが、ISの指導者であり大物テロリストである。絶対に放置してはならないことは明確にしておきたい。

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