ワシントン・タイムズ・ジャパン

紅いクリントン大統領候補

 11月8日、米大統領選挙が実施される。知名度は高いが人気に欠ける候補者2人の闘いだが、10月下旬段階で、民主党のヒラリー・クリントン候補が概ねリードしている。共和党のドナルド・トランプ候補について、女性に対する差別発言や過去の数々の失言や暴言をメディアがこぞってクローズアップしているが、ヒラリー候補にも国務長官時代の私用メールの問題の他、健康不安説などアキレス腱は色々とある。中でも「政治と金」、特に中国マネーとの癒着は80年代初頭――アーカンソー州知事の夫ビル・クリントンが脚光を浴び始めた時代にまで遡る。

 中国は、トウ小平時代から次々と発足させた人民解放軍系企業が兵器や麻薬の密輸など非合法ビジネスを含め、対外ビジネスに積極的に参入していった。並行して、世界の華僑華人財閥とのネットワーク強化に力を注ぐ政策を打ち出し、中国共産党幹部は、華僑華人の資金をどこへ避難させ、どこへ投下するか、情報力と機動力ある華人らと連携しながら管理運営をしていった。そのような中、米国の政治家で早々にターゲットとなった一組が、クリントン夫妻だった。

 インドネシアの華人財閥リッポー・グループ(力宝集団/李文正・李白父子)は、ヒラリーが80年代当時、上級パートナーを務めていたアーカンソーの法律事務所を顧問とし、高額の報酬を支払う。銀行の買収など、リッポーは米国で勢力を拡大させつつ、人民解放軍系企業からクリントン夫妻への贈賄や民主党への政治献金などでのパイプ役を務めていった。
 米国の法律では、大統領選や知事選などの立候補者が外国人や市民権を持たない人間から選挙資金の提供を受けることを禁じている。しかしながら“紅くて灰色”のマネーとクリントン夫妻を巡る疑惑は、このリッポー関連以外、事実(当事者が認めた)を含め、これまで何度も報じられてきた。

 ここ10年ほどでは、民主党の大統領候補と連邦議員や候補らに、「出所不明」の大量の献金活動を続けていた香港生まれで米国籍の中国系実業家が、「犯罪逃亡者」で逮捕された2007年9月の事件、福建省から「貧困地域」NYチャイナタウン経由でのヒラリー候補への奇々怪々な献金事件などがある。

 今年6月には、クリントン財団の元幹部で選対幹部も務めた「クリントン夫妻の側近中の側近」バージニア州のテリー・マコーリフ知事が、遼寧日林実業集団と丹東港集団の王文良会長から違法な選挙資金の提供を受けた疑いで、米連邦捜査局(FBI)と米司法省に調べられていることも報じられた。

 ニューヨーク大学(米中関係研究所創設のため)やハーバード大学、シンクタンク等へ多額の寄付をしている王会長から、マコーリフ知事を介してクリントン財団に200万ドルが寄付されたとの疑惑だ。王会長は、全国人民代表大会(国会)の第11、12回(現在)の代表メンバーの1人だが、米国のグリーンカードを所持しているとされる。

 遼寧日林実業集団は、中国駐ワシントン大使館の建設工事をはじめ、領事館、天安門広場や中南海などの施工や修復など国内外の重要な案件を請け負ってきた核心的な企業集団である。そして丹東港集団は、東北アジア経済圏の中心、北朝鮮との国境に位置する丹東港の管轄権を独占的に持つ。とすれば、中国国家安全部か人民解放軍系の江沢民派(上海閥)に近い企業だと推測できる。

 9月、安倍晋三首相とヒラリー候補がニューヨークで会談し、「日米同盟の強化で一致」と報じられた。同床異夢では……?と危惧するのは果たして私だけだろうか。

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