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ITの進化と映画産業の変貌

 「シン・ゴジラ」「君の名は。」が大ヒットし、いろんな方が感想や評価を発言されていますね。映画産業も、IT技術の進歩の流れの中で、その形が大きく変化しています。

 劇場は、単館スクリーンが激減し、殆どがシネコン形式の劇場に変化し、作品の上映を劇場側でもコントロール出来るようになり、従来の配給上映以外の上映が増えてます。劇場そのものが映画を観るだけの場所ではなく、イベント会場としての色合いを濃くしています。ライブビューイング、劇場中継、コンサート中継といった企画をはじめ、応援上映、女性限定、ママさん上映、コメンタリー上映、大声上映といったものが登場してきたわけです。

 また、映画の上映そのものも、3D上映、IMAX上映、4DX上映、爆音上映といった付加価値を高めた上映が出来るスクリーンの登場により、客単価を高めています。

 アニメでは、TVシリーズの初回や最終回をイベント先行上映として劇場で公開したり、OVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)作品にしても、劇場で期間限定上映することが当たり前になっています。舞台挨拶も、最近は中継によって全国の複数のスクリーンで同時に観ることができます。

 これらの変化は、デジタル上映が当たり前になり、ネットや放送の中継における画質音質の向上や、使用コストの低下といったITの進化が背景にあります。フィルム上映時代は、スクリーン分作成するという手間とコストがありましたが、デジタル上映となり、それらが一気に削減されました。

 また、デジタル上映により、フィルム劣化の心配もない。シネコンでは、全スクリーンで同じ作品を上映したり、上映スクリーン数を変更することも簡単に対応できます。

 とはいえ、映画館のスクリーンの稼働率は、東京でも3割程度。全国平均では、その半分程度という状況です。土日に殆どのお客さんが集中するので、平日の稼働率は更に低い。

 劇場側としては利益確保のために稼働率、回転率をあげたい。単館時代には出来ることも限られていましたが、シネコン時代になり、デジタル化が進み、ようやく劇場としても出来ることが多くなってきた。回転率も稼働率も劇場の努力次第で、上げていくことが可能になってきたわけです。

 IT的には顧客データの活用による調整精度向上アプローチが可能です。稼働率の高い時間帯での上映や、稼働率の高い作品を広いスクリーンで上映することが基本です。

 反面、ヒットしない作品の上映回数は減ります。通常なら4~5週間の上映を更に延長した上で、その後も1日1回上映という形で継続し、10週以上のロングランを行う作品も出てきています。逆に期間限定上映(2週間/3週間)として、来場を促します。

劇場側としては、以下の作品が良い作品ということになります。
・回転率が高い(上映時間が短い)
・稼働率が高い(リピーター多い/複数同伴が多い=カップル/夫婦/家族)
・付加価値上映(IMAX/3D/4DX)が出来る
・飲食販売に繋がる(作品コラボセット/ドリンク)
・物販販売に繋がる(パンフレット・グッズ)

 また、稼働率をあげるビジネスモデルとして、「ドリパス」というファンの観たい作品を限定上映するビジネスも登場しています。

 劇場は、今や、イベント空間であると言えます。今後は、VR(バーチャル・リアリティ)技術も導入されていくでしょう。イベント形式も、様々な工夫が行われていきます。

 家庭のテレビで観ることの出来ない、劇場でなければ味わえない感動や体験を提供する。少子化や趣味の多様化といった逆風に対抗していく流れとしては既定路線となっていきます。

 地域との連携という方向性もあります。地方ならではの映画祭といった企画もあっていいでしょう。映像コンテンツとシネコンは、地域イベントの核としての存在価値を持てると思います。

 勿論、魅力あるコンテンツが大事であることは、昔も今も変わりません。

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