ワシントン・タイムズ・ジャパン
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さあ、「憲法」を学ぼう

 9月7日の朝日新聞に、衝撃の世論調査が発表された。護憲派メディアの急先鋒である朝日新聞と、東京大学谷口研究室による共同世論調査によれば、憲法改正の賛否について、「賛成」および「どちらかといえば賛成」が42%、「どちらとも言えない」の中間派が33%、「どちらかといえば反対」「反対」の護憲派が25%だったという。また、42%の改憲に好意的な有権者の中で、「自衛隊または国防軍の保持を明記」が57%。次いで、「集団的自衛権の保持の明記」が49%、「緊急事態に関する条項を新設」が43%だという。一方で、公明党などが主張する「新しい人権」の明記にあたる、「プライバシー権の新設」が22%、「環境権を新設」が19%だったという。さぞ、護憲派メディアの朝日新聞にとって、都合の悪い結果だったことだろう。

 この結果を通してみるに、我が国の国民は政治に日ごろから関心を持っている層は、強く日本国憲法について批判的に考えており、日ごろ政治に関心を示していない層でも、憲法に対して何らかの疑問を持ち始めたことがよくわかる。

 原因として考えられるのは、三つだ。一つには、中国による海洋侵出と領土拡張のニュースが日常的になっていることが挙げられる。小学校から高校まで、ずっと「憲法9条によって平和が保たれた」という「既成概念」に対して、現実の世界とのギャップから9条の改正に賛成の立場を示す有権者が増えたと考えられる。

 次に考えられるのは、昨年の安保法制における国会の議論だ。安保法制が議論され始めた当初は、安倍内閣の支持率も下がり、安保法制反対意見が過半数を占めたが、現実の世界情勢を知ることで後に理解された。現在では、賛成派が多数を占めている。また、「憲法解釈を変更することで、集団的自衛権を認める」という安倍政権の立場に疑問を呈す側から、「ならば憲法改正をしよう」「憲法違反の法律なら、憲法を改正して合憲にしよう」という意見もあるのだろう。

 最後に、良くも悪くもSEALDsの存在である。以前寄稿したように、彼らに対して民意は懐疑的だったが、「立憲主義を守れ」「憲法を守れ」という主張が、国民の間に憲法論議を巻き起こし、その結果として日本国憲法の欠陥に有権者が気が付いてしまったということもあるだろう。彼らにとっては、「不都合な真実」だったのかもしれないが。

 さらに注目すべきデータがある。さまざまなオピニオンを発信している「BLOGOS」というサイトが、民進党代表選に関するアンケートをとったところ、民進党で保守系とよばれ9条改正に意欲的と評される前原誠司氏が、全体の33.3%で1位であった。民進党内部で代表選を有利に進めている蓮舫氏は25%であった。ちなみに、その他が26%という結果から、民進党代表選に関心のない層もある程度多いことが受け取れる。

 どちらにしても、安保法制に反対した民進党に、有権者の多くは憲法を議論することを求めていることに変わりはなく、民進党内部の改憲派である前原誠司氏に期待しているということは、改憲に向けた世論が醸成されつつあるとみてよいだろう。

 だが、保守派を中心に議論されている憲法論議は、日本国憲法の条文のみに視点をおいて議論しており、日本国憲法を一字一句護持しようとする護憲派と何ら変わらない感は否めない。また、大日本帝国憲法を再評価する動きが見られない。私の個人的な見解としては、日本国憲法の改憲手続きに沿って日本国憲法を葬り去り、大日本帝国憲法を叩き台にした新憲法を起草すべきだと考えている。しかし、改憲派の政治家も国民も、「憲法とは何たるか」についての知識もなければ、考えたことすらない。通常の法律と同じような感覚を持っている節があるように見える。

 日本国憲法を改正すべきという世論は言うまでもなく正しいが、その前に立ち止まって「憲法」について今一度学ぶ必要があるのではないだろうか。そうでなければ、伊藤博文や井上毅といった大日本帝国憲法を起草するために奔走した先人たちの血のにじむような努力と苦悩は報われない。

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