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吹かなかったSEALDs旋風、客観視した若者たち

 本年7月10日に投開票された第24回参議院議員通常選挙(以下、参院選)は自民党・公明党の政権与党、改憲野党のおおさか維新及び無所属の圧勝に終わり、改憲勢力は衆参両院を合わせて、戦後初めて3分の2を確保した。これにより、憲法改正を発議できる要件が整った。

 さて、今回の参院選は民進党と共産党が合作し「野党共闘」を演出した。「3分の2は取らせない」という、いかにもやる気を感じない目標を掲げて、SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)や市民連合などを含めた左派系市民団体とも連携して、選挙戦を進めた。とくに、18歳選挙権解禁後、初の国政選挙ということもあり、彼らは若者の政治参加を呼びかけるだけでなく、「護憲こそがカッコいい」「戦争法に反対するのは若者の役目」という世論を作り出すために、ラップやポップスを用いたファッションや音楽と融合したアピール活動を展開した。ところが、結果はどうだったか。政権与党の圧勝である。

 データで分析してみよう。あえて、護憲派メディアの大御所である朝日新聞の報道をベースに分析してみたい。同紙の調査によれば、18歳~19歳の未成年有権者の40%が自民党に投票、10%が公明党に投票したという。自公合わせて50%だ。対して、民共合作した民進党はどうか。17%の支持しか得ていないし、共産党も8%しか支持されていない。自公と民共の差は圧倒的である。そして、私たち20代も同様の傾向にある。20代の43%が自民党に投票し、9%が公明党に投票した。政権与党だけで52%である。対して、民共は合わせて23%だ。こちらも圧倒的である。

 つまり、SEALDsなどの自称リベラル勢力の若者取り込みは失敗したということだ。理由は次のように考える。第一に、アルバイトの時給が安倍政権下で高くなったことだ。多くの学生やフリーターはアベノミクスの恩恵を受けている。そして、大卒の就職率などが、大幅に改善したこと。どの新聞の報道だったかは定かではないが、新卒の就職率はバブル崩壊以前の高水準だという。民進党の前身である民主党が政権与党だった時、先輩たちが就職に非常に苦労を強いられていたことが記憶に残っていたのだろう。

 第二の原因として、SEALDsなど自称リベラル学生による政治運動への「胡散臭さ」である。誰もがスマホでネットをする時代になった今、SNSやネット掲示板などで流れてくるSEALDsたちの裏事情をみて、拒否反応を起こしたこともあるだろう。現に、私の周りの友人や後輩にはそういう意見が多い。そして、決定的なのは、「この平和な日本においてデモをする理由が理解できない」というものがある。これは、保守陣営に対しても、そういう認識を持っているようだ。良し悪しは別にして、政治を語ること、政治に熱心になることに抵抗感があるのである。だから、その急先鋒だったSEALDsたちは拒絶されたのである。

 アベノミクスの恩恵を受けて、SEALDsに対しては懐疑的かつ嫌悪感を抱く。とくに、変革を求める必要もないので、若い有権者は安定を望んだ。その結果、自公の圧勝である。保守が勘違いしてはいけないのは、決して憲法改正や安全保障の強化といった保守的政策が受け入れられたことによる勝利ではないということだ。そこを履き違えれば、保守派の若者の取り込みは失敗することになるだろう。

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