«
»

観光と地域活性化におけるICT活用

 観光立国という言葉が聞かれるようになり、インバンドの対応が注目されています。2019年のラクビーワールドカップ、2020年の東京オリンピックなどの国際イベントの開催も控えている中で、海外からのお客様をおもてなしすることによって経済活性化を進めて行きましょう、というわけです。

 上手におもてなしするために、様々な場面でICT(Information and Communication Technology、情報通信技術)が活用されるようになっています。案内、広告や予約、情報発信にインターネット、SNSなどを利用するのは当たり前な時代になりました。インターネット利用がどこでも出来るようにするためのインフラとしてWiFiサービスの充実化も行われています。

 無料WiFiサービスも拡大しています。モバイル端末、スマートフォンの普及が、旅行のあり方を変えていきます。

 インバウンド対策は、国内の旅行者への魅力向上にも繋がります。より多くの人に魅力を感じてもらうために、どの様な工夫をしていけば良いのか、その取り組みのひとつとしてICT活用は重要です。

 告知広告、予約、案内などは当然ですが、その他にもAR(Augmented Reality、拡張現実)、VR(Virtual Reality、バーチャルリアリティ)の利用、エリア限定の情報提供、音声翻訳、文字翻訳、など様々な場面、様々な場所で、ICTが活用されてきています。ICT=情報とコミュニケーションの技術の進歩によってもたらされた新しいサービスを、上手に活用していくことが出来るかが今後のインバンドサービスの質の差になっていきます。

 民活も重要ですが、自治体をはじめとして公的な支援も必要となるでしょう。ITコーディネータをはじめとした専門家の助言を有効活用し、それぞれの地域にあったアプローチを行っていくことが大切です。

 宿泊や交通の案内、ネット予約は既に当たり前。これからは、如何に旅行者にとって付加価値のあるサービスを提供していけるかが問われてきます。

 観光地のホームページやSNSでの告知内容の工夫は、差別化のポイントのひとつですが、観光アプリの提供によるサービスなども最近は多くなっています。ARアプリやガイドアプリ、ゲームアプリなどスマートフォンにダウンロードして使用できるアプリケーションによって、観光地をより楽しんでもらおうというアプローチです。

 関連するアプリを一部だけ少し挙げてみます。

「八戸観光ナビ」「みるかご」
「AR神話博」「ARへきなん観光」
「Tokyo – Experiencing Augmented Reality」
「今日の西郷どーん」「SAGAPP!」
「関ケ原観光Navi」「AR難波宮」
「きまぐれ鉄道ぶらり旅」
「くまフォト」「くしろARウォーカー」
「謎解き!江戸のススメ 広重ARマップ」
「AR滝山城跡」「AR恐竜王国福井」
「都庁ユビキタスガイド(東京都)」
「ユビキタスガイドサービス(上野動物園)」
「ユビキタス・アートツアー(東京ミッドタウン)」
「東海道五十七次ユビキタス計画(青物横丁)」
「ユビナビ(津和野町)」
「世界遺産熊野古道ナビ・プロジェクト(那智勝浦町)」
「イングレス」「駅奪取」「駅メモ!」
「ラブプラス+」「ふらっと案内」「恋旅」
「富士山ぐるぐる旅行」「Japan Travel Guide」
「開運 家康公ナビ」「はまっチャオ!」
「ふじぶらり」「きてっちゃ」
「舞台めぐり」

 まだまだ増えています。皆さんの地元に、どんな観光関連アプリがあるのか、調べてみるのも良いのではないでしょうか。見つけたら、ぜひ知り合いに紹介してあげて下さい。ネット時代の情報拡散は、市民レベルのちょっとした活動が重要です。

 スマートフォンのアプリ提供は、そのアプリで楽しむだけでなく、スタンプラリーやイベントなど地域の催しとの連携や、地元に関連する作品やコンテンツとの連携を行ったりと、様々な形でサービスの充実を図っています。

 VR、AR、プロジェクションマッピングなどの映像による新しい観光スポット創造などによって魅力向上を図っているところも増えています。

 もともと地域にある資産を上手く活用していくことも重要なポイントであることを忘れてはなりません。地元の人たちにとっては、ごく普通の当たり前のことでも、他の地域の人たちから見たら魅力あるものであったりするものです。視点を変えてみることが大切です。

 先日、「コンテンツ東京」という催しが東京ビックサイトで開催されました。“クールジャパン”という言葉を支えているのが日本のコンテンツ産業であり、コンテンツ文化です。観光と地域活性化においても、コンテンツの活用は重要なものになっています。会場では、最新のIT技術を利用したコンテンツの展示が数多く行われていました。

 その中で、経済産業省関東経済産業局と一般社団法人デジタルコンテンツ協会の主催による「アニメによる地域活性化の可能性」と題したセミナーがありました。私が参加しているコンテンツビジネス研究会でアニメによる聖地巡礼と地域活性化に関するテーマを扱っていたこともあり、聴講させて頂きました。

 セミナーは、民間企業3社のアニメと地域活性化に関連した取り組みの発表でした。株式会社ディー・エル・イ―からは、コンテンツ制作会社としてのアプローチについて島根県、磐田市、富山市、松江市の事例が紹介されました。

 西武鉄道株式会社からは、沿線のマンガ・アニメのゆかりの地、聖地巡礼に関する取り組み事例が紹介されました。ソニー企業株式会社からは、「舞台めぐり」というスマートフォンアプリによる取り組みについて紹介されました。

 3社それぞれに異なるアプローチの中で、コンテンツを利用しての地域活性化とその中でのビジネスについての紹介ということで非常に面白い内容でした。セミナーの中でも触れられていましたが、コンテンツの活用は地域活性化のきっかけのひとつでしかないということ、そして、地域の住民が自ら楽しみ積極的に取り組めるものにならなければ成功しないということを認識しておく必要があるということです。

 これはICT活用でも同様です。私たちITコーディネータなどの外部からの支援がどんなにしっかりとしていても、結局のところ、観光も、地域活性化も、成功するか否かは、主役である地域の住民の皆さんであるということなのです。

 ICTもコンテンツも、きっかけであり、道具であるに過ぎません。多くの成功事例の共通点は、地元の住民の皆さんが、地域活性化や観光促進のための取り組みを楽しんでいる、ということです。

1

コメント

コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。