ワシントン・タイムズ・ジャパン

小学生けん玉全国大会を「文部大臣杯」にした初代会長の執念

 日本けん玉協会では、小学生のための全国大会を1990年より毎年8月に行っている。同協会の藤原一生初代会長の働き掛けで、文部省(当時)の公認を受け、「文部大臣杯」を設け、今年は第28回を数える。全国の小学生が、統一規格のけん玉で、正々堂々と試合をするという夢の実現のために、初代会長は努力を惜しまなかった。そして、全国の小学生にけん玉が競技として浸透させていく道を切り開いたのである。

少年少女けん玉大会

 「文部大臣杯」として全国大会を行うことは、初代会長の「夢をあきらめない!」という信念が実現させたもので、日本けん玉協会を立ち上げた目標の一つを成し遂げた瞬間であった。藤原会長がよく口にしていた言葉に、「あせらず、あわてず、あきらめず」がある。それを有言実行したのである。

 藤原会長が、この内容を語られた講演(1991年)の一部を以下に紹介する。全文を読みたい方は、http://kendama65memory.blogspot.jp/p/blog-page.htmlをご覧いただきたい。

☆  ☆  ☆  ☆  ☆

 一番最初に大臣の第一声が、何を言われたかというと、「先生はなぜ、今までもっと早く、ここにお座りにならなかったのですか?」と言われたんですね。で、僕は、「それは天が動かなかったんです」って言ったんですね。「天動説です」って言ったんです。天が動かない。天動。ご自分でね、膝に字を書いておられるんです。それをこうね、ぱっと逃さないのが作家ですね。
 文部大臣の指先がね、字を書いていましてね。

 藤原「あっそれ違います。それは『童』っていう字です。それは山形県の天童。確かに童のようになると自然にピシッと力が入る意味もありますが、私らの場合は、ガリレオと同じで、天が動かなかったということなんです」

 大臣「あっ『動』ですか?」

 まるで国語の時間でしたね。そういう瞬間というのは、文部省の記録の中に残すべきではないですかね。初めて、そこで、漢字の意味、日本語の意味の深い、日本語の美しさについての大臣と自身とのやり取りがあったんです。

 大臣「それはどういうことですか?」
 と言われたから、
 藤原「私は政治力で、原文平衛さんとか北杜夫さんとか、偉い人いっぱい知っております。で、そういう人たちからここに座るのはできたでしょうが、僕はそういうのが嫌いなんです。自然に座りたい。天に連れられて、ここに座る時期を待ってたんです。それが、今日来たんです」
 大臣「あ、そうですか」

 大臣「今日来た目的はそれは分かっていますから、言わなくても結構です。先生には文部大臣杯を差し上げます」

 その時に大臣が「大きいのが良いですか?小さいのが良いですか?」
 これは二つ目の質問ですね。

 私は当然、文部省が大きなトロフィーをくれると思ったんですよ。私はペレのテレビのシーンがぱっと浮かんで、待てよ。ここで大相撲みたいにこんな大きなトロフィーをくれ!なんて言うと、藤原一生は欲深いな、と思うんじゃないかと。この人は僕を試しているな、と思うから、

 藤原「はっ、大臣、僕は小さなカップが欲しい。ペレがキスするようなのが良いです」
 大臣「ああ、先生は欲がないですね」

 これはしめたな。当たったなあと思ったんですね。ところがそうではないんですよね。終わって、全部あの事務官からもらったら、1枚の紙きれなんですよね。

 文部大臣杯の名義を使用して良いという許可証なんですね。で、結局、文部大臣杯に、文部省に、文部大臣杯に相応しいトロフィーは、ご自分で作りなさい。ということなんです。あれにはビックリしたんですね。ですから、今、こんなに立派な100万円のけん玉トロフィーね、意地でも作りましたね。すごいの。今年も8月の23日かな。サンシャインでやりますから、見に来て下さい。私は、文部大臣室にいた時に、正確に測った時間は28分。これはもう忘れないですね。本当に忘れない。タイムですね。これは文部省の、文部省付きの秘書官が言ったのですが、

 「こんなに長く、滞空記録って言っていいかな?表現が思いつかないんだけど、飛行機で言えば、滞空記録ですね。こういうのは珍しいです」と言ってたんです。

 で、それはどういう事かというとね、秘書官が何かサインを出すんですね。こうやって何かね。そうすると時間ですからっていう催促なんですね。

 大臣が「えっ、ちょっと待って。休憩取らせてよ。今童心にかえってるの!」と言われてね。そして、あと、「ふりけん」(というけん玉の技)のコツを教えましたね。文部大臣室で、大臣に教えて。西岡さんがやって、パッと。
 「おっ!おぬし、やるじゃないか!」って、僕、思わず言っちゃった。「おぬし」って。笑ってたね。友達ですね。うまいじゃないですか!

 大臣「先生、僕はね、子どもの頃ね、ガラスで削って遊んだんです」
 藤原「やるやる!大丈夫だ。おっ。そこだ!そこで引けば入ります!」
 入っちゃった!うれしかったですね。それで28分です。

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 けん玉を普及させる心、けん玉をする人は大臣であっても、子どもであっても、けん玉への情熱を持ち続けて接し、指導されていた初代会長が思い出される。

 けん玉を通して、個人、家庭、地域への輪、和を育み、平和への貢献をしていきたい。

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