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ファミリーツリー

マイアミの風

 自らのルーツを知りたい、そう思うのは誰しもでしょうね。友人ののりこさんのご主人はアメリカ人で、あまり愛想のいい人ではないが無口さの中にやさしさを秘めたそんな人だ。彼の両親はすでに亡くなって久しいが兄と姉がいる。

 いつ頃かわからないが彼は自分だけが養子であることを知る。後に両親に自分の親についてずいぶん尋ねたが両親は何も言わなかったそうだ。彼は気になりつつも時は流れた。

 そんなある日、ファミリーツリー(家系図)に熱心な友人から電話があった。実の親を調べてくれるというのだが、彼は名前も知らない母親のことわかるはずがないと思った。しかし数日後、その友人から彼のルーツが明らかになるのである。彼の実母はノースダコタ出身で結婚し子供もいたが、別れてロサンゼルスにやってきて住んでいた。そこである男性との子供をみごもる。しかしこの男性の名前などはわからなかったようで、おそらく妻帯者だったか結婚できない事情があって、実母は生まれた子供を施設に預けた。その子供が彼である。

 調べで実母はすでに亡くなっているが、実母の弟の家族がノースダコタに住んでいることがわかった。それで手紙を叔父になる人に写真と共に送った。受け取った叔父は手紙を読むと非常に驚き、新手の詐欺ではないかと思ったそうである。しかし写真をみてあまりにも彼が自分たちに似ていることを知って否定できなくなり、会おうということになりノースダコタの叔父の家で親族一同との出会いがあった。

 叔父さんも姉にこのような子供がいたことを知らなかった。親族の名乗りの後、のりこさん、娘、息子と家族で時折ノースダコタを訪れるし、いとこたちがのりこさんたちを訪ねてくるという。実母に生きて出会うことはできなかったが、母がずっと自分を見つめていてくれたんだと実感したよと、のりこさんの御主人はうるうるの目で話してくれた。

(マイアミ在住)

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