ワシントン・タイムズ・ジャパン

習近平を破滅へと導くアメリカ

●不可解な発言の連続

 アメリカは最近、中国の核戦力の増強と同時に、2年以内に人民解放軍が台湾に侵攻することはないという分析を公言している。中国の脅威論と楽観論が同時進行している。中国の核戦力が、アメリカの分析に反して増加傾向にあるなら脅威の卵だ。

 将来の脅威だが、今は脅威ではない。中国の核戦力は将来、アメリカを超えるが、通常戦力は脅威と見なされていない。アメリカの分析と発言は、単体では正しいが、連結すると矛盾が生じる。

 アメリカによる中国の核戦力増強の分析と発言は、米ソ冷戦期のもの。しかも冷戦初期のものだから、表向きは正しい分析と発言だ。だが、冷戦末期の現実を知るアメリカが、脅威だけを論じることは不可解。

■中国の核戦力拡大、予測上回るペース 米国防総省が報告書
https://www.afpbb.com/articles/-/3374149

 単に中国をネタに脅威論を出し、予算獲得をすることが目的ならば、台湾侵攻が近いことをセットにするはず。だが人民解放軍による台湾侵攻は、2年以内はないと分析している。どうやらアメリカは、脅威論ではなく別の目的で世論を誘導していると思われる。

●核戦力は金食い虫

 核戦力の増強は、見た目では脅威。だが核戦力の現実は金食い虫で、実際に冷戦期の米ソは資金不足で苦しんだ。何故なら核戦力は、何らかの点検を毎日しなければ発射できない。

 1日点検・2日点検・3日点検・7日点検・1カ月点検・半年点検・1年点検など、小規模から大規模点検まで実行する必要がある。定期点検の連続だから、核ミサイルが増加すれば、点検すら困難になる。

 では点検を怠ればどうなるか?
いざという時に発射できないし、最悪の場合は事故が発生する。これを回避のために、核ミサイルを毎日点検し、部品を交換する。さらに毎日点検と部品の交換をするには、運用に関わる人間の数が絶対に必要になる。

 ここが曲者で、核戦力の運用に関わる人間の数を確保すると、人件費だけで資金を消費する。一つの核ミサイル基地だけで、4交代制で行うのが基本。さらにバックアップ要員も必要だから、資金と人材を核戦力に集めてしまう。

 核ミサイルが増加すると、一つのチームの人数が増加。自動化を進めたとしても、核ミサイルの点検は人間が行う。さらに交換部品が見つかると、交換するのも人間が行う。このため核戦力を自動化によって省力化するのは難しいのが現実。

 冷戦期の米ソは、この現実で苦しんだ。お互いに核戦力の増強で優位に立とうとしたが、資金が核戦力で消費されるだけ。しかも毎日点検して部品を交換する。小さな部品でも塵も積もれば山となる。その結果当時の米ソは現実に耐えかね、核軍縮の道を選んだ。

 だからアメリカの発言は不可解。核戦力増強の結果を知るアメリカならば、中国の核戦力増強は、中国の国家予算を苦しめるだけ。しかも資金と人員が核戦力に集まると、今度は通常戦力が陳腐化する。実際に冷戦期の米ソが直面した問題だった。

 冷戦期の米ソは、核戦力でお互いに撃ち合う想定だった。そうなると、通常戦力から戦術・戦略が消える。核戦力で撃ち合うなら、通常戦力は役に立たない。核の炎が全てを焼き尽くすからだ。

●朝鮮戦争で失敗したアメリカ

 さらに不可解なのは、人民解放軍が台湾侵攻する可能性が低いと発言したこと。しかも2年以内の可能性は低いという奇妙な言い方。これは2年を過ぎれば危険性が高まるという意味になるが、朝鮮戦争を知るアメリカならば言わないはずだ。

■米軍の制服組トップ、中国の台湾侵攻は、「今後2年以内可能性低い」
https://www.epochtimes.jp/p/2021/11/81481.html

 朝鮮戦争の時に、当時のアメリカ軍は中国の参戦はないと分析していた。理由の一つは、中国と朝鮮の国境付近に兵站基地がないこと。通常の軍隊であれば、兵站基地を置いてから戦闘する。

 2万人規模の陸軍一個師団であれば、師団後方25kmに小規模兵站基地を置き、50km後方に中規模兵站基地を置く。さらに100km後方には大規模兵站基地を置くのが基本。そうでなければ、師団は連続戦闘を行えない。当時のアメリカ軍は、基本を根拠にした分析をしていた。

 軍事の基本を知る士官であれば、誰もが同じ結論を出す。後方支援なしでは戦闘できないから、国境付近の人民解放軍を見ると、兵站がないから朝鮮戦争に参戦するとは思わない。だが予想に反し、当時の中国は人民解放軍を義勇兵と称して朝鮮戦争に送り込んだ。

 これは当時のアメリカ軍には奇襲になった。来ないはずの方向から侵攻し、しかも人数も多いから損害を増大させる原因の一つになった。人民解放軍は兵站を無視したから迅速に移動できた。だがアメリカ軍が抵抗しながら後退したことで長期戦になった。

 人民解放軍は奇襲攻撃と同時にアメリカ軍を撃破できれば勝利できたが、長期戦になると、兵站がない人民解放軍はゲリラ戦に移行。今度は人民解放軍がアメリカ軍に追われる立場になる。

 朝鮮戦争はアメリカ軍に苦い経験を残す。そして、時として敵は、基本を無視した攻勢を行うことを知った。人民解放軍による兵站を無視した参加が典型例。これをアメリカ軍が知らないわけがない。

 台湾侵攻には兵站が必要だが、朝鮮戦争を見れば、兵站を無視して台湾侵攻を行う可能性が高い。ならば、2年以内に人民解放軍が台湾侵攻を行う可能性が高いのが現実なのだ。

中国がスリランカから99年の租借権を獲得したハンバントタ港

中国がスリランカから99年の租借権を獲得したハンバントタ港

●開戦させるための罠

 最近のアメリカの発言は、「中国に開戦させるための罠」が私の結論。核戦力増強は中国の国家予算を消費させる罠であり、2年以内に人民解放軍が台湾侵攻しないと公言し、アメリカは油断していると中国に思わせる。

 2年以内に人民解放軍が台湾侵攻すれば、中国からの開戦になる。国際社会は先に開戦した国が悪の国になる。これは今の平和を否定する行為だから、開戦する国が悪の国になる。これが国際社会の暗黙の了解。

 アメリカは中国を悪の国にしたいのだ。中国からの開戦であれば、アメリカは正義を得て戦争できる。しかもアメリカ国民も賛同するから、戦争するには最適な条件になる。仮に中国から開戦しなくても、中国が核戦力を増強すれば、国家予算を消費するのは明らか。

 おそらくアメリカは、今後2年以上の核戦力の増強で国家予算が尽きると見ているのだろう。そうでなければ、辻褄が合わなくなる。ならばアメリカの目的は、公の場で中国を油断させ、台湾侵攻に誘導することになる。

 だが中国が台湾侵攻をしなくても、長期的には中国を国家破綻に誘導している。つまりアメリカは、どちらに転んでも中国が破滅する道しか用意していない。習近平の未来はアメリカに用意されており、どちらの選択でも棺桶が待っている。

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