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VTuber「戸定梨香」の交通安全動画、女性蔑視と指摘され炎上

 千葉県松戸市のご当地VTuber(バーチャルユーチューバー)として活動している「戸定梨香」を使った千葉県警の自転車の交通ルールに関するPR動画が、YouTubeチャンネルから削除されたことがネット上で炎上騒動を起こしています。

性的対象物として描写と抗議

 削除された動画は、松戸市内の株式会社Art Stone Entertainmentが警察署と共に制作したもので、「あなたとみんなの命を守る ちばサイクルール~千葉県自転車安全利用ルール~」として、自転車に乗る前のルール、乗る時のルールを5項目ずつに分けて、戸定梨香が子供にも分かりやすく説明しているものでした。内容には何の問題もなく、現在はバーチャルプロダクション「VASE」のYouTubeにて掲載されているのですが、動画へのコメントを見ても、「親しみがあって分かりやすく、要点がちゃんとまとまっている」「自転車交通への注意喚起の役目をしっかり果たしている」「何が問題だったのかよくわからないぐらいよくできている」といった肯定的なものが多くありました。

 何故こんなにも好評価な動画が削除されるに至ったのか。事の発端は、松戸市議と八王子市議が共同代表を務める「全国フェミニスト議員連盟」が、千葉県警、松戸警察署、松戸東警察署に対し抗議の文書を送付したことです。文書内で「本動画は、女児を性的な対象として描いており、女性の定型化された役割に基づく偏見および習慣を助長しています」として、戸定梨香の外見に対して「セーラー服のような上衣で、丈はきわめて短く、腹やへそを露出しています。体を動かす度に大きな胸が揺れます。下衣は極端なミニスカートで、女子中高生であることを印象付けたうえで、性的対象物として描写し、かつ強調しています」と、具体的に指摘していました。警察署などに対して謝罪、動画の使用中止、削除を求め、警察署が女児を性的対象とするようなアニメキャラクターを採用することは絶対にあってはならないこととして、起用の理由などを問う質問事項を記載していました。

 警察署は、コロナ禍における非接触型の交通安全教育を模索するなか、戸定梨香の広報啓発活動を受け、起用に至ったと回答。また、男性職員、女性職員が共に、戸定梨香の過去の出演映像を確認するなどして検討したこと、今回の動画は地域に根差した活動を行っている芸能プロダクションの協力を得て、交通事故防止の観点から作成したと回答していました。

制作会社代表は憤り

 全国フェミニスト議員連盟からの抗議文、動画の削除に、制作会社の板倉節子代表は憤りを感じており、Twitterにて署名活動を行っている旨と、抗議を受けて感じたことなどを投稿しています。

 「弊社の市への想い、これまで自分たちの力で1から築き上げてきた関わりや努力や信頼を、警察の方を通じてそちらへ伝えて頂きましたが、最終的に削除で終わりとは、想いを否定されたような気持ちです」

 「本来の目的に目を向けていないことに納得がいかない気持ちです。作品を作る皆さんの気持ち、努力を見た目で判断しないでください。それこそが女性蔑視なのではないでしょうか。このモデルでいこうと進めた私は女性蔑視をしているのでしょうか」

 このように、動画の内容ではなく、戸定梨香の外見だけを見て否定され、動画が削除されたことに対して板倉代表は憤りを覚えているようです。板倉代表は、ABEMAのインタビューにて、動画の削除にあたっては県警から、抗議があってこのまま残しておけないから削除になるかもしれないと言われたが、誰からの抗議なのかは知らされず、詳しい説明はなかったと話しています。また、抗議をまず自分たちの方にくれたら、松戸のPRを良くするためにも話し合うこともできたと思うと語っていました。

賛同のコメント多数

 SNS上では、板倉代表が署名を行っていると投稿した内容に、署名、拡散しますといった賛同を示すコメントが多数寄せられていました。

 中には、「個人的には『VTuberは可愛い、表現の自由はある』とは思いますが、 好みの問題でもあるので、『税金から供出されることに市民が賛同するかは別』だと考えます。お気持ちはお察ししますが、衣装変更などをしても良かったのかもしれません」「この様な女性蔑視の案件に女性から異論がでるなんて悲しすぎます。個人で楽しむのであればとやかく言う筋合いはありませんが、公共の場でこの様な内容、女性蔑視(以外)の何物でもありません」「別にVチューバーの起用そのものについては否定してないですよね。そういう服装とモーションのVチューバーを公共機関が起用したことを問題にしてるだけで。Vチューバーって服装のTPO考えないんですか? 公共機関用に衣装を用意してモーション調整すれば良かっただけなので企画側の配慮不足な気がする」など、抗議を受けたことは不当なことではない、公共のPRに合わせた格好をするべきだったという声もあります。

無責任と批判も

 SNSの炎上を受けて、増田かおる松戸市議会議員が自身のTwitterにて、全国フェミニスト議員連盟の見解をホームページに掲載したことを伝え、「私たちフェミ議連は世話人会で合議することを一番大事にしています。9月議会の一番忙しい時で、なかなか臨時世話人会を開催出来ませんでしたが、ようやく」という内容を投稿しました。

 全国フェミニスト議員連盟のホームページ上には、以下の文章が掲載されていました。

 千葉県警等に提出した抗議ならびに公開質問状にご関心をお寄せいただいた皆さまへ
 提出した文書は、公的機関としての認識を問うたものです。
 当該動画の掲載も、削除も、ともに千葉県警によるものです。
 現在、多数のメール等が多種の内容で寄せられており、個別に回答は致しかねます。悪しからずご了承ください。

 これに対して多数の批判が寄せられ、更に炎上することに。

 「自分の発言に責任持てないのであれば言うべきじゃなかったですね。忙しいからとかそんなの理由になりません」

 「臨時世話人会で話し合った結果がコレなんですか?」

 「削除を求めるとハッキリ明言しておいて、今になって『認識を問うただけ。県警が勝手に消した』? 無責任にも程があります」

 「公開質問状で『動画の使用中止、削除を求めます』とはっきり要求しているのに、『当該動画の掲載も、削除も、ともに千葉県警によるものです』と責任を転嫁するのは、人としていかがなものかと思います」

削除や使用中止の要求は横暴

 今回の炎上騒動で問題なのは、抗議を受けた千葉県警、松戸警察署などが、制作会社にきちんと抗議内容を伝えず、制作会社と話し合わない内に動画を削除してしまったことだと思います。警察側は全国フェミニスト議員連盟の質問に対して、「今回の動画は地域に根差した活動を行っている芸能プロダクションの協力を得て、交通事故防止の観点から作成した」と、制作会社と共に作成したことを述べているので、制作会社と話した上で回答し、全国フェミニスト議員連盟が制作会社と連絡をとれるように警察側がパイプ役をして今後の対策を協議し合うこともできたのではないでしょうか。

 また、価値観や物事を見る角度がそれぞれ違うのはしょうがないので、抗議は起こり得ることだと思いますが、抗議する側もきちんと責任を持ってもらいたいものです。公共のPR動画なので、どんな人が見ても不快にならないキャラクターと内容にするべきだとは思いますが、削除や使用中止を求めるのは横暴で上から目線のような印象を受けます。動画の内容に関しては触れておらず、全国フェミニスト議員連盟が動画の内容を問題視していないのであれば、動画の削除まで求める必要はないと思います。キャラクターの衣装や外見を変えることを求める程度が妥当です。その程度の抗議であれば、ここまでの炎上騒動にはならなかったのではないでしょうか。

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