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二正面作戦を強いられる中国

クイーン・エリザベスを中心にした英国空母打撃群(Wikipediaより)

クイーン・エリザベスを中心にした英国空母打撃群(Wikipediaより)

■アメリカ軍、イスラム国を攻撃

 イギリス空母打撃群が日本付近に来ると、事実上のアメリカ・イギリス・オランダ・日本の連合軍が生まれた。それに対して中国には、ロシア軍・イラン軍は来ていない。隣国にロシア軍がいるのだが、人民解放軍と連合する動きが無い。

 中国は孤立状態で連合軍と戦うことになるが、アフガニスタン情勢が激変。アメリカ軍の撤退よりも、タリバンの勢力拡大が早かった。これで中国に向けられていた攻撃軸がアフガンに変わる。アメリカ軍の攻撃軸がタリバンに向けられたら、中国との戦争は後回しになる。だが、イスラム国系テロ組織の乱入で流れが変わる。

 アメリカ軍は、タリバンよりもイスラム国系テロ組織を攻撃し、タリバンは黙認した。これでアメリカ軍をアフガニスタンに拘束することができなくなった。さらに反タリバン組織が抵抗を続けており、アメリカ軍撤退後のアフガニスタンは、中国の思惑通りにはならない流れになっている。

■平和の無いアフガニスタン

 アフガニスタンの地勢は、地政学・戦略で重要な位置に有る。文明の交差点とも言える場所にアフガニスタンは存在するから、周囲の国から常に狙われる。だからアフガニスタンには、安定した平和は存在しない。

 十字路が戦略的にも緊要地形なのは事実。十字路を占領すれば、周囲の兵站・交易を管制できる。戦争でも平時でも重要で、常に戦闘の焦点になる。確かに占領すれば優位だが、占領しても世界を制するわけではない。

 世界を制するのであれば、既に巨大帝国がアフガニスタンを中心に存在している。実際の歴史を見れば、アフガニスタンを中心とした帝国は生まれていない。これが事実であり、アフガニスタンは敵味方の争奪戦の場所でしかない。

 しかもアフガニスタンは、周囲を山に囲まれV字形の底に首都が存在する。それに対して反政府組織は、V字形の高所に逃げて立て籠もる。高所の反政府組織は、地形を活かした防御で有利になる。山岳地帯であり高所に陣取るから、反政府組織は天然の要塞を使い闘える。こうなれば、政府軍が高所の反政府組織を攻めても容易には勝てない。

 山岳戦・市街戦・ジャングル戦では歩兵の数が命。最新兵器よりも歩兵の数が勝敗の決め手で、最新兵器を投入しても、他の武器との連携が容易に得られない。だから冷戦時代のソ連軍、現代のアメリカ軍でさえ、高所に陣取るタリバンを殲滅できなかった。

 しかも高所から低所の首都を攻略するのは有利。首都は守り難い低所に存在するから、反政府組織に攻められたら、大半は陥落する。カダフィ大佐が支配したリビアでも発生している。カダフィ政権軍が高所を押さえていた時には反政府組織を寄せ付けなかった。だが高所を反政府組織に奪われると、短期間で首都を攻略されている。

 アフガニスタンは、低所の首都と高所の反政府組織が交互に立場を入れ替える歴史。敗者が首都を捨て山岳地帯の高所に立て籠もる。そして勢力を拡大し、首都に進撃して占領する。この後、反政府組織に攻められて高所に逃げる。これが延々と繰り返されている。

■抵抗組織と戦闘、長期化すれば内戦も

 タリバンは短期間でアフガニスタンを占領した。アフガニスタン政府・軍は短期間で崩壊し、アメリカ軍が20年近く費やして育成したアフガニスタン軍は無価値だった。だがタリバンに抵抗する意思を持つ者が集まり、アフガニスタン北東部で抵抗を続けている。

 タリバンは抵抗組織に勝利したと宣言したが、実際は今も戦闘が続いている。これは高所に立て籠もる抵抗組織が、地形を活かしてタリバンに挑んでいるからだ。攻撃的なタリバンでも、高所に向かって攻めることは難しい。

タリバン、北東部で抵抗勢力と戦闘 米軍幹部は「内戦」警告
https://jp.reuters.com/article/afghanistan-conflict-idJPKBN2G103G?il=0

タリバン、北東部で抵抗勢力と戦闘 米軍幹部は「内戦」警告 | ロイター
アフガニスタンのイスラム主義組織タリバンは4日、唯一制圧していない北東部パンジシール州を支配下におさめようと抵抗勢力と衝突した。米軍 …
jp.reuters.com

 抵抗組織とタリバンの戦闘が、長期化するかは現段階では不明。仮に長期化すれば、アフガニスタン内戦となる。これはアメリカには都合が良く、抵抗組織を支援すればタリバンと間接的に闘える。

 仮に中国がタリバン政権を支援すると、アメリカは抵抗組織を支援することで、中国と間接的な戦争を行える。アメリカ軍がアフガニスタンに駐留していた時は、中国がタリバンを使い間接的な戦争をしていた。中国は少ない資金で、アメリカ軍に損害を与えるから旨味が多い。だが今後は、逆に中国が苦しむ立場になる可能性が有る。

■東西に勢力が分散

 今後中国がタリバン政権を支援した場合は、東シナ海・南シナ海の東部戦線と、アフガニスタンの西部戦線になってしまう。これは悪夢の二正面作戦。アメリカはアフガニスタンの抵抗組織を支援して、中国に対して間接的な戦争を実行。これで中国は、アフガニスタンに拘束され消耗。

 東部戦線では、アメリカ・イギリスを中心として連合軍と睨み合い。人民解放軍陸軍と空軍が西部戦線のアフガニスタンに投入されると、東部戦線は人民解放軍海軍と空軍が投入される。ここで問題になるのが人民解放軍空軍。西部戦線と東部戦線に戦力が分散するから、航空戦力から打撃力が奪われる。

 これでは航空戦力で劣る人民解放軍空軍から、さらに連合軍と戦う能力を奪う。しかもタリバン政権に資金を提供すれば、人民解放軍の維持に必要な資金が不足する。これでは人民解放軍の戦力を奪うだけで、未来の無い戦いとなる。何故なら、アフガニスタンのインフラ・教育は破壊されており、今後大金が必要なのは明らか。そんな世界に中国が手を出せば、中国財政を苦しめるだけ。実際に、冷戦時代のソ連、現代のアメリカも苦しんだ事実が有る。

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